1986 Fiscal Year Annual Research Report
肺循環動態および血管透過性に対する中枢神経系の役割
Project/Area Number |
60480473
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 直久 名大, 医学部, 助教授 (80109321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 達次 名古屋大学, 医学部, 助手 (60135382)
重井 達朗 名古屋大学, 医学部, 教授 (60013786)
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Keywords | 肺循環系 / 星状神径節 / 気管支静脈 / セロトニン / 肺水腫 / 肺内毛細血管圧 / フィブリン / 圧受容反射 |
Research Abstract |
体循環系と肺循環系の間には、相互に出入する血管すなわち気管支動静脈を介して血液の流動がみられる。私達は、イヌを用いてその血流量に対する圧受容反射おび星状神経節切除による影響をしらべた。その結果、血圧を70mmHgから90mmHgへ上げると体循環系から肺循環系への血流量が増加する。この時、左房圧を5cm【H_2】Oから15cm【H_2】Oへ増加させることによって生じる両循環系の間の血流量の変化は、血圧が70mmHgのときより90mmHgの方が大きかった。しかし、星状神経節切除は、左房圧上昇に伴なう血流量の変化を神経の無傷の時よりも著しく減少させた。これらのことは、気管支静脈の血管平滑筋が星状神経節切除によって弛緩して、気管支動脈から肺循環系への血液流入量の変化よりも気管支静脈を介して肺循環系から流出する血流量の変化の方が大きいことを示している。このような生理的な神経刺激とは別に交感神経の電気刺激の効果が従来報告されているが、本研究ではさらに気管支動静脈の血管平滑筋がこれら2種の神経刺激に対して異なった効果を示す可能性を明らかにしたものといえる。 次に、前年度行な、たセロトニン肺水腫発生機序に関係するセロトニン受容体のサブタイプについて、さらに肺内毛細血管圧および血管透過性に関する実験を行ない、【S_1】受容体は透過性亢進作用をひきおこすことが明らかとなった。ケタンセリン(【S_2】受容体の括抗薬)前処置下でセロトニンを持続注入すると、Double occlusion technigueによって得られた肺内毛細血管圧には変化がみられないのに対し、毛細血管のfiltration coefficientは有意に増加した。【S_1】受容体を介する血管透過性亢進による血漿漏出量は、【S_2】受容体を介する肺内毛細血管圧の上昇により増強されると考えられていた。 最後に、肺水腫発生に関与する神経系をしらべるため、ラット大槽内へフィブリン投与する実験を行なっている。
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Research Products
(2 results)