1986 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の精神依存性に及ぼす身体依存の影響に関する研究
Project/Area Number |
60480476
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
柳田 知司 実中研, その他, 研究員 (50072400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 信 (財)実験動物中央研究所, 精神薬理部, 副部長 (20132772)
安東 潔 (財)実験動物中央研究所, 精神薬理部, 部長 (90072404)
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Keywords | アカゲザル / モルヒネ / 自己投与 / 比率累進試験 / 強化効果 / 薬物弁別 / 自覚効果 / 身体依存 |
Research Abstract |
アカゲザルでの薬物静脈内自己投与法による比率累進実験において、昨年度はモルヒネ(M)処理により身体依存が形成されると最終比率が増大することから、Mの強化効果が増強されることを示唆する結果を得た。しかし身体依存の強さと最終比率との関係は明らかにできなかったので、今年度は実験条件を検討してMの単位用量を昨年の2倍の0.25mg/kg/inj.,Mの前処置用量を昨年の1/2の1および4mg/kg/dayとし、比率累進実験期間を前処置終了後48時間から開始することにした。実験は1頭あたり6試行として、最初と最後のセッションでは生理食塩水(S)前処置後にS摂取を行わせ、2番目と5番目はS前処置後にMを摂取させる試行、3番目と4番目はM低用量前処置後にMを摂取させる試行とM高用量前処置後にMを摂取させる試行のいずれかを2頭ずつ順番を入れ替えた。その結果、M前処置により身体依存が形成されると最終比率が増大することは明らかになった。現在のところ今回の実験に用いたM前処置の用量と最終比率との間には一定の相関はみられていない。 Mの自覚効果に関する実験では、まずMとSの弁別行動形成を試みた。サルのケージ内に左右2個の砂糖水提示用の受皿を取りつけた。M0.5mg/kg皮下投与した実験日には投与15分後に左右2個の受皿のうち一方(M側)への10回毎の接触反応に、またSを皮下投与した実験日には他方(S側)への同様の反応にそれぞれ砂糖水を与えた。このような条件下で反復訓練を行ったところ、4頭中3頭のサルでM投与後にはM側の、S投与後にはS側の反応のみが観察され、Mの弁別行動が形成された。そこでこれらのサルにコカインやペンタゾシンを投与したところ、サルはいずれもM側の反応を行い、Mの自覚効果は上記の2薬物に類似していることが示唆された。
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