1986 Fiscal Year Annual Research Report
言語・行為・志向性-現代哲学の主要概念の歴史的・体系的再吟味への-視角-
Project/Area Number |
60510002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 二郎 東大, 文学部, 教授 (60011285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 惠善 東京大学, 文学部, 助手 (30186192)
武笠 行雄 東京大学, 文学部, 助手 (40190847)
松永 澄夫 東京大学, 文学部, 助教授 (30097282)
坂部 恵 東京大学, 文学部, 教授 (30012503)
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Keywords | 言語論 / 行為論 / 志向性 / 哲学の統合 / ハイデッガー / 解釈学的分析 / 意識と経験 / 語の意味 |
Research Abstract |
本研究は、現代哲学の基礎的な概念である言語・行為・・志向性について、現代の主要な哲学的な立場である現象学,解釈学,言語分析等から考察を試みるとともに、それらを哲学史上の諸成果との対比の下に再検討を行い、それら諸概念の有機的連関を把握することを目的としている。本年度は、特に次の諸点に重点をおいて研究を進めた。1.従来の哲学史研究では見逃されていた、或いは充分に解明されないままに来た側面をできる限り幅広く発掘する。2.現代の主要な哲学的な立場或いは方法相互の新たな接点の可能性を探る。3.以上2点の成果を踏まえて、言語・行為・志向性諸概念間の有機的連関の把握を一歩深める。以上の研究方針に基づいて、具体的には次のような研究成果を達成した。研究代表者渡辺は、1.フレーゲとフッサールにおける言語・志向性の比較、2.フッサールの生活世界概念の究明、3.ヘーゲルにおける行為の構造を解明した。研究分担者坂部は、「こころ」の語の解釈学的分析において一定の成果をあげ、また18世紀のドイツ哲学における言語論の展開の研究を進めた。松永は、行為の概念を、行為から発生したテキストの概念から逆照射することにより明晰なものへと仕上げるべく努めた。武笠は、行為論の現代の主要理論の内実と相互関係を解明し、意図的行為の説明の二形式の統一的把握をアリストテレスの付則性概念の援用によって試みた。菊地は、ヘーゲル哲学における言語の問題を、経験・認識・行為の観点から考察するとともに、弁証法の成立根拠の解明を言語の観点から試みた。これらの研究成果を各自雑誌論文等の形で公表するとともに、研究者相互の討論を行い、歴史的体系的な考察の総合を図ってきた。また、本研究者を中心とした研究会も適宜取り行い、本研究課題をめぐる学問的交流の活発化にも努めた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 渡辺二郎: 東京大学文学部哲学研究室編『論集【V】』. 【V】. 1-61 (1987)
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[Publications] 渡辺二郎: 立松弘孝編『フッサール現象学』. 57-136 (1986)
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[Publications] 渡辺二郎: 中埜肇編『ヘーゲル哲学研究』. 159-201 (1986)
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[Publications] 坂部恵: Acta institutionsis philosophiae et aestheticae ed.by T.lmamichi,Centre international pour 【e!´】tude compar【e!´】e de philosophie et d'esth【e!´】tique. 4. 57-63 (1986)
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[Publications] 武笠行雄: 哲学雑誌. 101. 198-226 (1986)
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[Publications] 菊地惠善: 哲学雑誌. 101. 175-197 (1986)
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[Publications] 菊地惠善: 東京大学文学部哲学研究室編『論集【V】』. 【V】. 62-82 (1987)