1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60510235
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
後小路 薫 大谷大, 文学部, 助手 (10140055)
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Keywords | 江戸時代 / 仏教 / 勧化体 / 唱導説教 / 舌耕文芸 |
Research Abstract |
当初の計画のとおり、寺院の蔵書調査並びに、東北大学図書館狩野文庫をはじめとして、図書館に蔵される勧化体を披見しえた。 寺院の蔵書調査では、今年度は夏の休暇を利用して、二箇寺を訪れ、現在その蔵書目録を作製している。昨年度調査を行なった、大覚寺の蔵書目録はワープロで印字し、簡易製本をして、配布している。今年度調査した愛知県岡崎の金勝寺は、写本の勧化本を数多く蔵していた。幕末から明治初期のものが中心である。現在、真宗史の分野で明治の布教伝導の形態が論じられているが、それらは本山サイドの資料が中心である。この金勝寺の蔵書は、末寺の側から、その実態を筆記したものとして興味深い。今後も継続して、出来る限り、寺院の蔵書調査をすすめてゆきたい。また現在、化政期以後の説教僧の調査の為、寺院を訪ねているが、併行できればと思っている。 研究としては、昨年調査した、松誉巌的について、特にその著述の観音霊験記を中心として報告した。住した大善寺にも足を歩んだが、空襲で焼失し資料は見出せなかったが、その事も報告した。また近世末期の勧化体のうち写本のものには、文字論の上からも興味深い、略字,異体字が用いられており、その実態を利用に至便な形を考えて報告した。さらに、今対象としている勧化体の背景を示すものとして、唱導の論書に注目しているが、一昨年発表した。近世初期のものの続きとして、今年は近世末期の『唱導百練釘』を報告した。今年度の調査の中で披見しえた書籍のなかにも、この分野で重要な写本が含まれているが、この面も今後の課題として、積み重ねてゆきたい。
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[Publications] 後小路薫: 大谷学報. 66巻2号. 16-28 (1986)
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[Publications] 後小路薫: 文藝論叢. 28号. 64-76 (1987)
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[Publications] 後小路薫: 別府大学国語国文学. 31-46 (1987)