1986 Fiscal Year Annual Research Report
内因性日和見感染発症のメカニズム;サルサイトメガロウイルスでの実験的研究
Project/Area Number |
60570166
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
大瀧 サチ 予研, その他, 研究員 (60072865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐多 徹太郎 国立予防衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (00162397)
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 病理部, 部長 (50012779)
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Keywords | サイトメガロウイルス / カニクイザル / 潜在ウイルス活性化 / 免疫抑制 / 日和見感染 |
Research Abstract |
国立予研筑波医学実験用霊長類センターで人工繁殖育成されたカニクイザルは【F_1】で、しらべたウイルスすべて陰性でSPFに近いかと思われていたが、サイトメガロウイルス(CMV)だけは野生母集団のそれと大差ない抗体保有率(57・1%)を示すことを昨年明らかにした。今回この【F_1】サルで抗CMV・CF抗体価16倍以上を示す健康サルを選び、潜在CMVを活性化して顕性感染を誘導する条件をつめる実験を行った。野生サルに100%近く再現性をもつてCMVを活性化し全身感染に導く条件は、抗胸腺細胞グロブリン0・5ml3回,エンドキサンとコーチゾンアセテートを夫々25-40mg/kgづゝ数回注射して強力な免疫抑制を行うことに加えて、何故か帯状疫疹ウイルス(V2V)を接種する必要があり、この役割についての解明が求められていた。今年度、上記の免疫抑制下にa)生V2V注射の陽性対照群とb)免疫抑制のみの陰性対照群と共にc)ホルマリン不活化V2V接種での実験を行った。野生サルで確実に全身感染に進展した3週目に剖検・検索した結果、a)免疫抑制+生V2V群のみならず、c)免疫抑制+不活化V2V群でも半数(それぞれ2/4匹)にCMV活性化病巣(特異的封入体巨大細胞を含む)を後腹膜リンパ節等に認めたが、全身に蔓延するには至らなかった。これに対し実験を追加し4週目に剖検したサルでは全例(2/2匹)に野生サル同様の典型的CMV全身感染症が誘導されていた。以上の実験結果は1)CMV活性化誘導のためのV2V接種の役割は、それが不活化V2Vでも同じ効果を示すことから推して、ヘルパー又は協同等に働くウイルス学的因子にはなく、異種抗原としての免疫原性にあるだらうこと、及び2)用いた【F_1】ザルでは同一条件下で野生サルよりもCMV活性化とその進展が遅いこと、これは【F_1】が潜在CMV量が少いか抗体価の高さで選んで抵抗性が高いかいづれかであらう。現在CMV抗体陰性【F_1】サルにサルCMVの外来性感染実験を行い、今迄の内因性感染像ととの対比を試みつゝある。
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Research Products
(1 results)