1986 Fiscal Year Annual Research Report
気道反応性亢進と過敏性の発生における窒素酸化物の役割
Project/Area Number |
60570247
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
香川 順 東京女医大, 医学部, 教授 (90055955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 悟 東京女子医科大学, 衛生学, 助手 (70158963)
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Keywords | 二酸化窒素 / 気流抵抗 / 気道過敏性 / 気道反応性 |
Research Abstract |
近年、気管支喘息患者の有病率の増加が、特に学童の疫学調査で示され、その原因の一つとして窒素酸化物への暴露の寄与が疑われている。気管支喘息の基本的病態は気道過敏性と反応性の亢進であろう。そこで現実に人が暴露されうる程度の濃度の窒素酸化物にモルモットを繰返し長期間暴露する事により、気道過敏性と反応性の亢進が生じてくるかどうかを調べる事により、窒素酸化物への暴露が人で気道過敏性と反応性の亢進をひきおこす可能性があるかどうかを調べる事を目的とした。 本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 方法:300g前後の28匹のモルモット(ハートレイ)を、ランダムに2群に分けた。【NO_2】暴露群は、0.5ppm【NO_2】に5時間/日,5日/週で,11週間暴露した。同様に濾過空気に暴露したものを濾過空気暴露群とし、対照群とした。両群について、約10日間の間隔で、ヒスタミン・エーロゾル吸入試験による気道反応性テストをおこなった。 結果:(1)体重 暴露2週目あたりから11週目まで、【NO_2】暴露群は対照比に比べ、有意ではないが、低体重傾向が持続した。(2)気流抵抗 オシレーション法による気流抵抗値は、体重の増加に伴い低下傾向を示したが、【NO_2】暴露群と対照群の間には有意差はみられなかった。(3)気道反応性テスト ヒスタミン・エーロゾル吸入前の気流抵抗値を倍以上に高めるヒスタミン濃度の推移(過敏性)およびその時の気流抵抗の増加率(反応性)は、【NO_2】暴露群と対照群で有意差はみられなかった。(4)病理所見 気管の線毛の消失は対照群では認められなかったが、【NO_2】暴露群では3匹に明らかな消失がみられ、また肺胞の破壊に関しては【NO_2】暴露群で2匹に明らかな気腫化が認められた。
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[Publications] Kagawa,J.: Tokai J.Exp.Clin.Med.10. 349-353 (1985)
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[Publications] 香川順: 大気汚染学会講演要旨集. 432 (1986)
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[Publications] Kagawa,J.: Aerosols(Research,Risk Assessment and Control Strategies)edited by S.D.Lee et al.Lewis Pubishers,Inc.Ml.U.S.A.683-697 (1986)
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[Publications] 香川順: 日本衛生学雑誌. (1987)