1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60570280
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
北浜 睦夫 聖マ医大, 医学部, 教授 (40081666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 不学 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20175160)
桑木 泰裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (00081670)
鷺 盛久 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70081669)
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Keywords | 不適合輸血 / 抗原抗体複合物 / 糸球体腎炎 / 下部ネフロンネフローゼ / DIC |
Research Abstract |
1、前年度に確立した一定条件のもとで抗原抗体複合物をウサギに注入したところ、ヒト血清中の抗体価および溶血素価が高いもの程ウサギの症状においてショックが強く現れるようであり、抗体価が64倍以上になると殆どのウサギはショックを伴い短時間で死亡するようであった。 さらに、抗体価が低いものにおいてもショック症状を呈し死亡するものと、徐々に回復するものがみられ、10時間以上生存しつづけたものは、その殆どが回復した。これは、ウサギの個体差にもよるが、体内での反応形態に大きな差異があるものと考えられる。 2、死亡時の症状を観察すると、激しいショック症状から短時間で死亡する例と徐々に衰弱の経過をたどり死亡する例の2つの型が認め、これらの尿は血色素尿を認めるもの、あるいは乏尿の症状を呈した。 3、これらの死亡例を組織学に検査すると、大部分のウサギで、肺に血栓を認めるのみで腎所見には全く変化を認めないものがみられたが、腎所見に変化を認めたものは、尿細管の壊死および円柱による閉塞等が観察され、下部ネフロンネフローゼ像を呈し、さらに一部のウサギには腎の変化とともに肺に出血像を認めDIC発症が観察された。 4、つぎに、腎について病理学的に検討するためにFITC標識抗ヒトIgG、IgMおよび補体Cを用い、ウサギに注入したヒトの抗原抗体複合物の腎糸球体への沈着の有無を観察したところ、それぞれ強い蛍光が観察された。このことは、不適合輸血の副作用のひとつに糸球体腎炎の発症がおこる可能性が示唆された。但し、蛍光の強弱については著明な差異は認られなかった。
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