1986 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬の局所脳血流と脳代謝に及ぼす影響について-臨床的・実験的研究
Project/Area Number |
60570496
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
倉知 正佳 富山医薬大, 医学部, 教授 (80019603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 厚文 金沢大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (90019604)
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Keywords | 【^(133)Xe】吸入法 / 局所脳血流 / ハロペリドール / 【^(125)IMP】 / オートラジオグラフ |
Research Abstract |
1.臨床的研究 【^(133)Xe】吸入法を用いて、抗精神病薬服用中の精神分裂性障害患者の閉瞼安静時の局所脳血流と臨床所見との対応を検討した。対象患者は男20例,女10例で、平均年令26.4±7.0(SD)歳、臨床症状はBPRSで評価し、その他WAIS知能検査,Wechsler記憶検査,Benton視覚記銘検査,Wisconsinカード分類テストを施行した。対照群は健常男子18名(平均年令27.1±5.0歳)である。その結果、健常対照群と比較すると、患者群(男)は平均半球血流量が有意に低く、また左前頭血流分布が有意に低下していた(対照群105.3%、患者群102.0%)。また、患者群全体では、左前頭葉血流分布と感情鈍麻の評価点に逆相関(r=-0.419,p<0.05)が認められ、左前頭血流分布の低い患者ほど感情鈍麻の程度が強かった。しかし、右前頭葉血流分布と臨床症状との間にはとくに関連は認められなかった。なお、前頭葉血流分布と罹病期間との間にも有意な関連は認められなかった。2.実験的研究【^(125)IMP】(イソプロピルヨードアンフェタミン)を用いて、オートラジオグラフ法によりハロペリドール(HPD)急性投与(0.1又は1.0mg/kg静注)1時間後のラツト脳内血流の変化を脳16部位について検討した。現在まで濃度計にて測定結果がでたのは、対照群3匹,HPD0.1mg/kg投与群4匹,1.0mg/kg投与群2匹である。中間結果としては、海馬や扁桃核では対照群の70%位に血流が減退し、黒質もほぼ同様であった。視床下部,視床,前頭,側頭,頭頂,後頭皮質はこれよりやや軽度の血流減退を示し、他方,尾状核,被殻ではほとんど血流減退を示さなかった。本研究と平行して、現在【^(14)C】-デオキシグルコースを用いて、HPD投与後のグルコース利用の変化を検討中である。
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Research Products
(1 results)