1986 Fiscal Year Annual Research Report
コモンマーモセットのSPF化と清浄飼育に関する研究
Project/Area Number |
60580038
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
谷岡 功邦 実中研, その他, 研究員 (10072406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 均 (財)実験動物中央研究所, 霊長類研究室, 室長代理 (80167395)
斎藤 宗男 (財)実験動物中央研究所, 飼育技術開発室, 室長 (50167417)
伊藤 豊志雄 (財)実験動物中央研究所, 動物医学研究室, 室長代理 (20106644)
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Keywords | コモンマーモセット / 帝王切開 / 人工哺乳 |
Research Abstract |
本研究は、コモンマーモセット(小型サル種)で無菌動物を作出し、それらの長期清浄飼育を行うための技術を検討するものである。 〔研究結果〕帝王切開に供するための妊娠動物を合計12頭準備できた。このうちの6頭は帝王切開に供する1〜3日前に出産してしまった。これは、マーモセットではまだ正確な妊娠0日の把握ができず、子宮触診による推定妊娠日齢を基準にしていることと、なるべく出産直前に胎仔を得ようとしたことによるものである。しかし、これらから得られた仔の11頭については、人工哺乳の検討材料として有効に使用できた。すなわち、発育日齢の進行に伴う人工哺乳の回数、1回の哺乳量、ならびに人工哺育の条件が設定できた。 帝王切開は合計6頭で実施された。その成績は以下のとおりである。 1.(1仔)胎仔蘇生せず失敗。切開までの時間が長すぎたと考えられる。 2.(2仔)蘇生に成功、しかし約半日後に死亡。 3.(2仔)1仔蘇生成功、その後アイソレータ内で生存。現在発育中、♂。 4.(2仔)1仔蘇生成功、しかし3日後死亡。帝王切開早すぎ、胎仔虚弱。 5.(3仔)2仔蘇生成功、しかし数時間後に死亡。胎仔が小さすぎた。 6.(2仔)2仔蘇生成功、その後1仔死亡、1仔は現在無菌状態で生存中。♀ 〔考察〕以上のように、帝王切開により現在までに12頭の仔を得たが、うち6頭で蘇生に成功した。しかし、長期にビニルアイソレータ内で飼育できたのは2頭のみであった。失敗したものの多くは、帝王切開の時期が早すぎたためと思われた。今後は、できるだけ出産まじかに手術を実施する方策をみつけて、胎仔の生存率を上げたい。なお、帝王切開、無菌飼育に関しては、ラットの方法を参考として試みたが、今回、小型ザル・マーモセットにおけるこれらの技術をほぼ確立させることができた。
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