1985 Fiscal Year Annual Research Report
表層処理によるコンクリートの耐久性向上に関する研究
Project/Area Number |
60850092
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 一輔 東京大学, 生技研, 教授 (10013096)
|
Keywords | コンクリートの耐久性 / 鉄筋の腐食 / 合成高分子材料 / 含浸 / セメント硬化体の細孔構造 |
Research Abstract |
本研究はコンクリートが多孔材料であることを利用して、コンクリートの表層部分に有機質材料を含浸せしめ、塩素イオンや酸素などの腐食因子の不透過層を形成させることによって、コンクリート中の鋼材を長期にわたり、効果的に防食する方法を確立することを目的とする。本年度は先づセメント硬化体中における粘性流体の物質移動が毛管孔隙よりはむしろ乾燥収縮などによるクラックを通じて行われる可能性が大きいと考え、これを確認するための検討を行った。即ち、ポルトランドセメントを用いて水セメント比及び養生条件を変えた硬化ペーストを作製し、水銀圧入法による細孔量及び細孔径の測定、乾燥にともなう重量減少率の測定などを行なうとともに実体顕微鏡を用いてクラック形成の状態を觀察した。その結果、或る条件下ではクラックの形成が著しいことを確めた。一方、並行してコンクリートの表層含浸に適すると考えられる3種の含浸剤を調製し、水セメント比が65%及び45%のコンクリート供試体を用いて含浸実験を行った。含浸剤はアルキルアルコキシシラン系の溌水型の滲透剤1種と、メタクリル酸メチル系の常温硬化型含浸剤2種である。含浸させたコンクリートの塩素イオン滲透深さを測定した結果、アルキルアルコキシシラン系の溌水性滲透剤が最もすぐれた性能を示した。 一方、メタクリル酸メチル系の常温硬化型の含浸剤を適用した鉄筋コンクリート梁の海洋暴露試験を実施した。含浸剤の塗布方法は橋梁などの構造物への施工を考慮して、試験体の塗布面を水平上面、鉛直面ならびに水平下面として塗布した合計3種とした。これらの供試体の腐食因子しゃへい性能の評価は昭和61年度に実施する予定である。
|