1985 Fiscal Year Annual Research Report
水域における懸濁物質・底泥の輸送量及び拡散分布域の算定手法の開発
Project/Area Number |
60850106
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
粟谷 陽一 九州大学, 工, 教授 (00037699)
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Keywords | 底泥 / 懸濁物質 / 波動 / 巻き上げ / 分級作用 / 物質輸送 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下の通りである。 1.従来の算定法の評価と適用限界の体系的分類 底泥あるいは懸濁物質の輸送を取り扱うに際し、運動方程式と物質保存式の両者が妥当でなければならない。運動方程式の一、二、三次元の場合について基本的取り扱い法別に、適用限界について考察を加え、分類を行なった。また、物質保存式については、式中に境界条件として与えられる項目および、内部パラメータに重点をおいて、文献調査を行ない、従来の取り扱い法の意味を明確にし、それぞれの評価に基づいて、適用限界を明らかにした。この結果として、波の作用下における底泥の巻き上げ速度推定に関する研究が、欠落していることを明らかにした。 2.波動による底泥の巻き上げに関する基礎研究 1における結果を受けて、波の作用下における底泥の巻き上げ速度に関する実験を数例行なった。この結果、波により、底泥はある位相差を有して剪断運動を行ない、巻き上げは界面波の不安定性に基づいて行われることを明らかにした。また、本実験のために、底面剪断力計を開発した。 3.海域における底泥の堆積速度の長期調査 対象フィールドとして、熊本港建設地を選び、底泥の堆積状況、河川からの土砂の輸送状況について把握した。この結果として、海域においては、分級作用がかなり明瞭に行なわれていることを明らかにした。 4.底泥・懸濁物質の輸送量の算定法の開発 従来行なっている感潮河川の一次元モデルを基に、流量、塩分、懸濁物質の輸送方程式について検討を加えた。その結果として、上げ潮時と下げ潮時において底面粗度係数を変更する必要のあること、一次元懸濁物質の輸送方程式においては、シアー効果による項を入れなければならないこと、懸濁物質の沈降速度は、塩分の影響を受けないことがあること等を明らかにした。
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Research Products
(2 results)