1985 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム包埋高分子集合体を利用した細胞認識性酸素運搬系に関する研究
Project/Area Number |
60850164
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土田 英俊 早稲田大学, 理工, 教授 (90063461)
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Keywords | 酸素運搬体 / 人工赤血球 / 高分子集合体 / ヘム |
Research Abstract |
体内で必要な酸素量を確実に輸送できる酸素運搬系を、毒性、抗原性を回避したヘム包埋高分子集合体を利用して可能にするのが本研究の目的である。60年度は特に、高速スペクトロモニタを活用して、高分子ヘム集合体のpseudo vivo、exvivo、での酸素運搬機能を、in situ解析、赤血球との相互作用を評価した。また集合体溶液を計画に従って大量合成できた。具体的には次の成果を得た。 1.ヘム誘導体、脂質誘導体、糖類から成る一連の集合体を作成、膜の安定性とヘムの分散状態に絞って、まず物理化学的に集合体を選別した。 2.ヘム包埋集合体の酸素親和性(p1/2:30〜40mmHg)、寿命(1日以上)など酸素結合特性を高濃度溶液で直接スペクトル解析し、集合体構造と関連づけて整理した。37℃、毛管高速流動の稼動条件下での機能寿命もあわせて評価した。 3.小胞体粒径400Å形態安定で長期保存可能、かつ比重、粘性、浸透圧も血液に匹敵、1〜2の知見とあわせ血中投与に耐える材料系として、高分子脂質を構成成分とするヘム集合体を選定した。 4.血液との混合系において、集合体から赤血球への酸素授受をスペクトルコンピュータ処理により解析した。酸素供給が0.1秒以内に完了する迅速反応であること、供給量は酸素分圧に応答して定量的であることを確認した。 5.インキュベーション時における赤血球の機能変性、凝集劣化をパラメータとして相互作用を評価した。血球膜との特異反応がしばしば観測されたが、その回避因子として集合体の一次構造と表面構造が重要であることがわかった。 6.イヌ後肢への潅流実験をおこない、ニードル型酸素電極から組織における酸素濃度を追跡、ヘム集合体による酸素供給を予備的に判定した。 引き続き、細胞認識能を評価、血流中で作動する人工酸素運搬系の知見を確立したい。
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[Publications] J.Inorganic Biochemistry. 25巻. 43 (1985)
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[Publications] 人工臓器. 14巻. 1934 (1985)
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[Publications] 膜. 10巻. 351 (1985)
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[Publications] Biochim Biophys.Acta. (1986)
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[Publications] J.Macromol Sci.(1986)