1986 Fiscal Year Annual Research Report
アクリジン環化合物の螢光反応とそれを利用した超微量分析システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
60860012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
目黒 煕 東北大, 農学部, 教授 (30005590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 建夫 東北大学, 農学部, 助手 (80005652)
大類 洋 東北大学, 農学部, 助教授 (20100050)
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Keywords | セレノール / N-(9-アクリニジル)マレイミド / 蛍光分析 / セレノシステイン |
Research Abstract |
我々は、先に、SHと反応して強い蛍光を発するN-(9-アクリジニル)マレイミド(NAM)(【III】)を開発した。同反応は、マレイミド環の二重結合に対するSHのマイケル型付加反応であり、よく似た性質を持つSeHへも応用が可能であることが予測された。本年度は、SeHとNAMの反応を検討し、発蛍光反応が起こることを明らかにし、更に、反応生成物の単離、構造決定を行い、定量分析への応用の可能性を明らかにした。モデル化合物として、ベンジルセレノール(【I】)、比較のためにベンジルチオール(【II】)を用い、同じ条件で反応を行った。(【I】),(【II】)は共に水に難溶なため、反応はアセトン中で行った。即ち、(【I】)のアセトン溶液をNAM-アセトン溶液に加え、室温で撹拌した。発蛍光反応は直ちに始まり、溶液は強い蛍光を発し、予想通りNAMとの反応が示唆された。蛍光は1時間以内に一定となり、その蛍光強度は(【I】)の農度にほぼ比例した。さらに、生体内でセレノール基を有するセレノシステインの分析への応用を行った。batch法では、10nmol/3.5ml〜10pmol/3.5mlの間で良好な直線性が得られた。HPLC法では、オンカラム量で、350pmol〜6pmolまで良好な直線性が得られ、検出限界は、0.75pmol/30mlであった。その類似体でNAMとも反応するシステインと良好に分離出来た。タンパク(オボアルブミン)にセレノシステインを添加し、0〜24時間加水分解処理をした結果、良好な回収率を得た。又、セレノシステインとNAMとの反応物の結晶を単離し、そのIR,NMR,MASSを測定し、その構造を決定した。その結果、同結晶は-SeH基にマイケル付加後、アミド結合のまき直しが起こり、いわゆるシステインの反応物のSをSeにかえた化合物であることが明らかとなった。又、Se-NAM付加物の蛍光スペクトルを測定し、360nmに励起の最大、又、420nmに蛍光極大が得られた。
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Research Products
(1 results)