1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60860021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 勝巳 東京大学, 農, 助教授 (50011896)
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Keywords | 養殖魚 / 肉質 / 飼料 / 藻類 / スピルリナ / 脂質 / 風味 |
Research Abstract |
養殖魚は天然魚と比較して一般に肉の脂質が多く風味も劣る。ところが、予備的な実験で配合飼料に藻類を添加して飼育すると肉質が改善されるという知見が得られた。そこで本研究では、藻類中の有効成分を検討するとともに、その適正添加量を定め、実用飼料の開発を目的とした。 初年度は、アユにクロレラを、マダイにアオサまたはスピルリナを投与する飼育試験を行い、脂質代謝に及ぼす影響を調べた。また、スピルリナ投与マダイの筋肉エキスおよび香気成分を分析するとともにスピルリナからクロロホルム・メタノール可溶画分および熱水可溶画分を調製し、各画分中の成分分析を実施した。さらに、スピルリナ添加飼料の造粒性および保存性を検討した。 クロレラ投与によりアユの筋肉、肝臓、腹腔内脂肪組織の脂質が減少し、マダイにおいてもアオサまたはスピルリナ投与により筋肉脂質量が低下する傾向が認められ、藻類投与は脂質代謝に影響を及ぼし、脂質のエネルギーへの動員を亢進する効果があることが明らかとなった。また、スピルリナ投与マダイの筋肉エキスについては、肉の呈味改善に寄与すると考えられるグリシンおよびアンセリンが増加する傾向が認められた。一方、香気成分に関しては、臭気の官能検査、トリメチルアミンおよびトリメチルアミンオキシド量の測定、ガスクロマトグラフィーによる香気パターンの分析を行ったが、対照魚との間に顕著な差異は認められなかった。スピルリナの構成成分の分析については、クロロホルム・メタノール可溶画分の色素組成、熱水可溶画分の構成多糖が明らかとなり、その他の成分については分析を続行中である。さらに、実用飼料製造に当って問題となる造粒性、保存性についてはペレット、クランブル飼料とも、スピルリナ添加量10%までは無添加飼料とほとんど差異がないことが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] TETHYS. 13-3,4. (1985)
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[Publications] TETHYS. 13-3,4. (1985)日本水産学会誌.