1986 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽細胞腫マススクリーニング検査用離乳食の開発による偽陽性率改善の試み
Project/Area Number |
60870025
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Research Institution | School of Nursing and Medical Technology, University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
斎藤 友博 産医大医短, その他, 教授 (90137703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新川 隆康 神奈川県衛生研究所, 臨床血清科・床化学, 主任研究員
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Keywords | 神経芽細胞腫 / スクリーニング |
Research Abstract |
神経芽細胞腫マススクリーニングにおける偽陽性の原因究明ならびに偽陽性率の改善を目的とし、昭和61年度実施計画に沿って実施し、以下のような結果が得られた。 〔今年度の研究実施概要〕1.6か月乳児の行政的マススクリーニング実施の前日には本研究で作成した当検査用離乳食の摂食・母乳栄養児の母では母用献立の摂食を指導し、尿定性検査の結果を非指導時の結果と比較検討した。2.被検者の母親にアンケート調査を実施し、献立の被受容性を調査した。3.当献立以外の摂取食品と尿検査結果の関連性を検討した。 〔結果〕1.対象地域の昭和58年1月から61年12月まで検数8587例の偽陽性率は3.02%、同期間の月別の偽陽性率の最大値は7.03%、最小値は0.53%、一方、主に昭和61年1月から6月実施の被指導児540人の偽陽性者数は15人、偽陽性率は2.78%で、被指導児でやや低いものの統計学的に有意な差は得られなかった。2.献立の材料の入手,調理時間,調理法それぞれ容易とした人は85%以上で、尿検査陰性群、偽陽性群で差はなかった。しかし、検査前日ないしは当日の検査用離乳食の準備を面倒であると答えた人は偽陽性群40.0%、陰性群33%(有意差なし)で、受容性は必ずしも高くはなかった。3.検査前日ないしは当日に献立以外の食品を与えられた児は陰性群37.0%、偽陽性群46.7%(有意差なし)で、献立以外の摂食禁止が守られにくく、指導法に問題がある。偽陽性児の摂取食品は陰性児もより低率ながら摂食しており、この点について今後の詳細なデータ分析が必要である。 〔結論〕当検査用離乳食摂食指導による偽陽性率改善は余り期待できない。今後の課題として、市販の検査用離乳食摂食の開発による改善、母乳・ミルクのみの摂取指導の効果の検討が望まれる。
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