1985 Fiscal Year Annual Research Report
オートラジオグラムより神経伝達物質受容体絶対数を算出する方法の確立
Project/Area Number |
60870029
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鬼頭 昭三 広島大学, 医, 教授 (00010140)
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Keywords | 神経伝達物質受容体の絶対数 / オートラジオグラフィー / 標準曲線 / Unnerstallの式 / 画像解析 |
Research Abstract |
細胞膜表面における神経伝達物質受容体、又は薬物受容体については適当な標識ligandとの結合実験が広く行われ、一部の受容体においては生化学物質としての実体が明らかにされつつある。我々は弱固定した脳切片を用い【^3H】-標識ligandを投与するオートラジオグラフィーにより、各種の神経伝達物質受容部位の形態学的観察を続けてきた。光顕レベルで中枢神経各部位の受容体濃度を銀粒子を計測することにより定量的な検索を行い、又、未固定cryostat切片に標識ligandをapplyし、【^3H】-sensitive film上で受容体の局在を解析する方法を確立した。この【鼕3H】-sensitive filmを用いたオートラジオグラフィーにおいて【^3H】-放射活性を標準化し、フィルムに表われた像のdensityとligandと結合した受容体の絶対数を対応させることは必要不可欠であり、その方法の確立が望まれるところである。本年度は本研究計画の初年度であり、正常実験動物を用いて受容体絶対数算出のための基本的技術を開発した。要約すると、市販の異なった濃度の【^3H】-標識ligandを含有するポリエチレン樹脂の切片を【^3H】-sensitive filmと密着し、オートラジオグラムを得る。この像をIBAS【II】型画像解析装置を用いてoptical densityを算出する。既知の濃度の【^3H】-標識ligandを用いた画像であるため、濃度とoptical densityに関する標準曲線が描ける。この標準曲線を用いて、sampleに結合した実際に求めたい【^3H】-標識物質の弟度をやはりIBAS【II】型でそのoptical densityを求めUnnerstallの式に代入することにより、標識物質の受容体結合量をmol per mg proteinの単位で求めることが可能となった。また、我々は上述した方法がhomogenateを用いた結合実験より求めた受容体数と一致することを確認した。現在、上述の方法を用いて、各種神経伝達物質受容体について動物実験を行うとともに、ヒトの正常及び各種変性性神経疾患の剖検脳における受容体分布を定量的に検索中である。
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