1985 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性物質を徐放する医用材料及び高度の生体適合性を有する循環系人工臓器の開発
Project/Area Number |
60870048
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
松田 武久 国立循環器病センター, その他, 研究員 (60142189)
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Keywords | 生理活性物質 / 徐放性 / 抗血栓性 / セグメント化ポリウレタン |
Research Abstract |
本年度は1)生理活性物質の選択、2)基材高分子の選択、3)徐放速度の制御因子の決定及び4)プロトタイプのシステム構成に焦点がしぼられた。1)の生理活性物質としては、合成抗トロンビン剤として著明なMD-805(国産技術によるもので、トロンビンに対して高選択的拮抗作用を示す)及びFUT-175(同じく国産技術で開発された抗補体活性剤)を選択した。これらは分子量約500の合成生理活性物質であり、極性有機溶媒に易溶である。この性質を利用して、合成高分子膜を製膜する時に高分子溶液に均一に溶解せしめて均一フイルムを容易に作成できることを見い出した。2)の基本高分子としては、従来から使用されている人工臓器用素材の疎水性セグメント化ポリウレタン及び新たに実験的に合成した親水性セグメント化ポリウレタンを選択した。3)徐放速度に関しては、微量の溶出した生理活性物質を検出する方法を螢光合成基質を用いて検出する方法を開発した。この方法を用いて生食中への溶出速度を調べると疎水性ポリウレタンでは溶出しない。一方、親水性ポリウレタンの場合には含水率が高くなるにつれて溶出速度は加速された。これらの系を実際にin vitroで血液凝固を調べると、1.0%でMD-805の付加で完全に血液凝固を阻止し得ることが見い出された。容易に加工できるこの方法は汎用性があるので、次年度では材料の種類を広げると共に、ex vivo及びin vitroでの評価を行なう。
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