1985 Fiscal Year Annual Research Report
CTスキャンによる脳組織局所酸素代謝諸量と血流量同時測定法の実用化に関する研究
Project/Area Number |
60870049
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 和夫 長崎大学, 医, 教授 (50025540)
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Keywords | CTスキャン / 脳血流量 / 脳局所酸素代謝 |
Research Abstract |
多種ガス拡散原理を基礎として脳の酸素代謝諸量をCTスキャンで測定するためのソフトウエア、及び得られた諸計算値をもちいてCT画像を再構築する画像表示用ソフトウエアの完成のため、以下の動物実験を行った。ブタの頭部を固定してキセノンガスとヘリウムガスを含んだ多ガスを吸入させ、CTスキャンにてCT値を測定し脳組織内のキセノンガスの飽和過程での経時的移行量からキセノンの拡散恒数を求めた。この拡散恒数が動脈血側と脳組織側内での酸素濃度較差により変化することを利用して脳組織酸素濃度を求めた。脳組織血流量は従来のCTスキャン法によりキセノンの脱飽和過程で測定し、CT画像に再構築して表示した。次に、ブタを経眼窩的に一側内頚動脈又は中大脳動脈を遮断して脳虚血巣を作製し、時期をおいてCTスキャンにて虚血部を確認後再度CTスキャン法にて脳組織酸素濃度及び脳組織血流量を測定して、これを画像表示し、虚血巣作製前後及び虚血部とその周辺正常脳組織でのデータを検討した。次に、動物を開頭後CTにて確認した脳虚血部と周辺正常脳組織に白金電極を插入し、血流量測定を水素クリアランス法で、酸素分圧測定はボーラログラフ法にて測定した。これらのデータをCTスキャンを用いた本法の測定結果と比較検討すると、良好な相関を認めた。 以上、動物実験においてもCTスキャン法による脳酸素代謝諸量と脳血流量の同時測定法の実用化を支持する結果であったので、今後サーモグラフィ法による脳表データとの比較検討をすすめ、良好な結果が得られれば正常志願者を用いて本法での測定を行い、データの生理的変動や再現性等について検討を行う予定である。
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