1985 Fiscal Year Annual Research Report
高度嫌気条件下連続培養装置の試作による歯垢微生物の嫌気的糖代謝の研究
Project/Area Number |
60870066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 正 東北大学, 歯, 教授 (50005021)
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Keywords | 連続培養 / 高度嫌気条件 / 嫌気的糖代謝 / 口腔レンサ球菌 / Streptococcus mutans / 口腔レンサ球菌 / 歯垢 / フッ素化合物 |
Research Abstract |
1.高度嫌気条件下連続培養装置の試作ならびにその性能の検討 嫌気グローブ・ボックス内で培地を培養槽へ供給するためのチューブの結合は、結合部をアルミホイル等で被覆して滅菌する等の方法により雑菌の混入を高い確率で避けることができた。グローブ・ボックス内での大量の培地の移動・運搬は容易なことではなかったが、手動ジャッキをもう1台追加することにより、この難問をなんとか解決することができた。オーバーブローによる排液の処理は、特別設計のステンレス箱の使用により、容易に行なうことができた。さらに、定常状態に達した細菌を酸素に全く接触させずに集菌するために、嫌気遠心分離用の遠心チューブカバーを試作し、非常に効果的に、極微量の酸素にも接触することなく細菌を収穫することに成功した。以上のごとく、当初の目的通り高度嫌気条件下で口腔レンサ球菌を連続培養し、これを完全に嫌気的に収穫することができた。また、-300mV以下の酸化還元電位を常に保つという性能も十分に満すことができた。 2.高度嫌気条件下で連続培養して得られた口腔レンサ球菌の特性 Streptococcus mutansはStreptococcus sanguisに比べて低いpHで連続培養が可能であり、このような低いpHで増殖したレンサ球菌は中性附近のpHで増殖した菌に比べて低pHでの酸産生能力が著しく高いことが判明した。また、糖制限条件下で生育したS.sanguisでは糖の菌体内への取り込みを触媒する酵素系を多量に持ち、グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素の合成が促進されており、これがこのような条件で生育した菌が高い酸産生能をもつ理由と考えられた。 高度嫌気条件下で生育した口腔レンサ球菌では高度嫌気条件下での糖代謝(酸産生)が、従来知られているよりはかなり低い濃度のフッ素化合物で阻害されることがわかり、実際の歯垢のような高度嫌気条件下ではこれまで考えられていた以上にフッ素は効果的と考えられた。
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[Publications] Infection and Immunity. 47-1. (1985)
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[Publications] Journal of Dental Research. 64-11. (1985)
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[Publications] Infection and Immunity. 50-2. (1985)
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[Publications] Japanese Journal of Oral Biology. 27-3. (1985)
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[Publications] う蝕と歯周病. 3. (1985)