1986 Fiscal Year Annual Research Report
高度嫌気条件下連続培養装置の試作による歯垢微生物の嫌気的糖代謝の研究
Project/Area Number |
60870066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 正 東北大, 歯学部, 教授 (50005021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北条 祥子 東北大学, 歯学部, 助手 (90005033)
阿部 一彦 東北大学, 歯学部, 助教授 (40151089)
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Keywords | Streptococcus mutans / Streptococcus sanguis / 糖代謝 / 高度嫌気条件 / 連続培養 / フッ素 / 歯垢微生物 / fructosyltransferase |
Research Abstract |
ウ蝕誘発性の高い歯垢微生物Streptococcus mutansや歯垢の主要な酸産生菌であるStreptococcus sanguisを高度嫌気条件下で種々のpH条件で連続培養し、その糖代謝活性を測定したところ、低いpHで生育したものは低pHでの糖代謝活性が高く、多くの酸を産生した。これら細菌を糖制限・高度嫌気条件下で連続培養するとギ酸・酢酸など乳酸以外の酸がもっぱら産生されるが、糖が過剰にあってもこれら揮発性酸の産生は多かった。しかし、低いpH条件下では高度嫌気であっても比較的多くの乳酸が産生される傾向がみられ、これらレンサ球菌は大幅に変動する歯垢のような条件下でウ蝕の直接の原因となる酸の産生パターンを多様に変化させていることが判明した。 これら口腔レンサ球菌を種々の濃度の酸素と接触させると、S.mutansの糖代謝活性はS.sanguisのものに比べ酸素によって傷害され易く、ことに高度嫌気・糖制限条件で生育し、ギ酸や酢酸を多く産生するS.mutansは酸素感受性が著しく高く、低濃度の酸素と接触することによりその糖代謝活性は著しく低下した。 上記のごとく生育させたS.asnguisの糖代謝はフッ素により、好気条件下よりも高度嫌気条件下でより著しく阻害された。S.mutansでも同様な違いが観察された。この違いを生ずる原因はS.sanguisの菌体への糖の取り込みに必要なエネルギーチャージが高度嫌気条件では著しく低くなっておりこの様な条件下ではフッ素による取り込み阻害がより効果的になるためと判明した。しかし、フッ素阻害によって酸産生のパターンは変化しなかった。 上記のごとく生育したStreptococcus salivariusは低ウ蝕性といわれている代用糖,カップリングシュガー、をよく代謝し酸を産生する。これは、この菌がもつフルクタン産生酵素Fiuctosyltransferaseがこの糖を水解し酸を産生するためと判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Hojo: Infection and Immunity. 55. (1987)
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[Publications] N.Takahashi: Infection and Immunity. 55. (1987)
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[Publications] T.Yamada: "Regulation of glycolysis in streptococci." Sugar Transport and Metabolism in Gram-Positive Bacteria., 25 (1987)