1985 Fiscal Year Annual Research Report
Ras遺伝子産物のモノクローナル抗体を利用したがん診断法の開発
Project/Area Number |
60870082
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 栄子 北海道大学, 薬, 教授 (80028836)
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Keywords | P21 / 合成遺伝子 / GDP結合蛋白質 |
Research Abstract |
膀胱がん、肺がん、ミエローマなどには、がん遺伝子の1種であるras遺伝子が活性化されて存在することが明らかにされており、膀胱がんなどのras遺伝子産物にはN-末端から12番目あるいは61番目に変異を有する。従って、それぞれのがんに特異的なras遺伝子産物のモノクローナル抗体を調製すれば、膀胱がん、肺がんなどのがんの診断が可能である。この目的のために、それぞれのがん特異的なC-Ha-ras遺伝子を化学合成し、大腸菌で発現させて、rasたんぱく質を大量に調製し、モノクローナル抗体を作成することを計画し、現在までに以下の成果を得た。 1) C-Ha-ras遺伝子構築のために必要な約40種のオリゴデオキシリボヌクレオチドを固相リン酸トリエステル法および固相亜リン酸トリエステル法により合成した。 2) 1)で合成したオリゴヌクレオチドをT4DNAリガーゼを用いた2段階の結合法により、膀胱がんおよびミエローマ由来のC-Ha-ras遺伝子を合成し、大腸菌のトリプトファンプロモーターを有するプラスミドベクターに插入してras遺伝子を含むプラスミドを構築した。 3) 上記で得た膀胱がんのras遺伝子を含むプラスミドを制限酵素ClaIおよびBssHIで切断し、DNAフラグメントの置換により正常細胞由来のC-Ha-ras遺伝子を含むプラスミドを構築した。 4) 3種類のプラスミドでそれぞれ大腸菌をトランスホームし、ras遺伝子を効率よく発現させた。 5) トランスホームした大腸菌を大量培養し、溶菌の後にイオン交換およびゲル濾過クロマトグラフィーにより3種類のras遺伝子産物を十数mg単離精製した。単離精製したrasたんぱく質はGDP結合汚性およびGTPase活性を示した。
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