1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60880014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂田 誠 名古屋大学, 工, 助教授 (40135306)
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Keywords | 回転対陰極 / 複合ターゲット / X線 / エネルギースペクトル / パルス源 / パルス特性 / MCS(マルチ・チャンネル・スケーラー) |
Research Abstract |
今年度は、銅回転対陰極を2台購入し、X線の発生する金属部分を加工することにより(Cu,Mo),(Cu,Ag),および(Cu,Cr)3種類の複合ターゲットを試作した。これらの組合せは、特性X線の波長が短波長(〜0.5A)から長波長(〜2.3A)の範囲を含む様に選ばれた。作成方法は、円筒状対陰極銅基台を10分割し、1分割おきにAg,Crは電解析出法により、Moはイオン・プレーティング法により貼付した。これにより、銅と他の金属が交互に縞状となった複合ターゲッとが作成された。この3種類の複合ターゲットより発生されるX線のエネルギースペクトルを完全結晶シリコンの(400)反射を用て分光することにより調べた。この方法は、半導体検出器(SSD)を用いるよりもはるかにエネルギー分解能が良く、今回の測定でも、各金属の【Kα_1】,【Kα_2】特性線も分離されて測定された。SSDの分解能は、150eV程度であるのに対し、今回の方法では約4eVと見積もられた。各特性線の積分強度は、CuKαを1とするとAgKα0.2,CrKα0.6,MoKαが0.25であることが分った。これらの値より、たとえば、(Cu,Ag)の組合せで、同強度のターゲットを作るには、それぞれの金属の縞状の巾を1:5にすれば良い。今回の方法で作成した複合ターゲットは、X線のパルス源としても用いることが出来る。そのために、パルス特性をマルチ・チャネル・スケーラー(MCS)により調べた。今回用いたX線発生装置では、ターゲットを毎分6000回回転している。複合ターゲットの分割数を考慮すると、これは周波数1000Hzのパルス源となることを意味する。実際の測定においても、非常にきれいなパルスを観測した。パルスの形もきちんとした矩形波になっており、パルス源としても有望であることが分った。来年度はダ耐久テスト、他の金属の組合せによる複合ターゲットの試作、複合ターゲットを応用した実験、パルス源として用いた時のトリガーのとり方を確立する研究を行なう。
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