1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61302021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 文隆 京大, 理学部, 教授 (90025370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 保憲 東京大学, 教養学部, 教授 (60012308)
細谷 暁夫 大阪大学, 理学部, 助教授 (80028258)
冨松 彰 名古屋大学, 理学部, 教授 (10034612)
佐藤 勝彦 東京大学, 理学部, 助教授 (00111914)
冨田 憲二 広島大学, 理論物理学研究所, 助教授 (90034610)
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Keywords | 多次元宇宙論 / インフレーション宇宙 / 量子重力理論 / 密度ゆらぎ / ゲージ不変形式 / バリオン数生成 / ダーク・マター / コスミック・ストリング |
Research Abstract |
本研究では、量子重力理論と相互作用の統一理論の観点から、宇宙構造の形成について次のようなことを明らかにした。宇宙の大域的な一様等方性を説明するインフレーションは、多次元空間理論に基づいて、いろいろな機構で起こり得ることが示された。また、それらの機構や現在の宇宙の膨張則を得ることは、素粒子の相互作用の構造に強く依存していることが明らかになった。宇宙の初期条件を議論するには量子重力理論が不可欠となるが、重力理論はゲージ対称性のために、量子化の際、時間概念の導入が困難になる。これに対して、ゲージを固定することによって時間を導入するアプローチが展開された。しかし、量子宇宙論には、宇宙の波動関数と観測の問題等、古典的宇宙描像への移行に関連する課題が残されている。 一方、宇宙の局所構造のもととなる密度ゆらぎの発生や成長を膨張宇宙において考えるには、座標変換に対して不変な取り扱いが必要である。この方法の定式化の整備がなされ、インフレーション期,宇宙の晴れ上がり期,非等方宇宙モデル等に対して適用された。これらの研究により、ゲージ不変な物理量が明確に取り出せるようになった。観測量との比較に関しては、インフレーション期でのバリオン数生成や、軽元素生成量から、素粒子論のパラメーターに対する制限が与えられた。また、大統一理論で予想されるコスミック・ストリングが存在すれば、宇宙黒体輻射の等方性と矛盾することなく、銀河のスケール,距離相関,回転曲線等の観測データを説明し得る可能性が明らかになった。宇宙構造の形成は、大域的,局所的ともに統一理論に強く依存している。ゆえに、素粒子論と宇宙論は今後も相互に示唆を与えながら発展させなければならない。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] H.Sato: Progress of Theoretical Physics. 76. 1250-1259 (1986)
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[Publications] H.Sato: Progress of Theoretical Physics. 75. 1342-1350 (1986)
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[Publications] Kenji HAYASHI: Progress of Theretical Physics. 76. 563-566 (1986)
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[Publications] Yasunori FUJII: P.T.P.76. 325-328 (1986)
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[Publications] Motohiko YOSHIMURA: Phys.Rev.D34. 1021 (1986)
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[Publications] Takao KOIKAWA: P.T.P.75. 977 (1986)
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[Publications] Kenji TOMITA: Physics Review. D34. 3570-3583 (1986)
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[Publications] Takashi NAKAMURA: Prog.Theor.Phys.Supplement inpress.
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[Publications] Yasushi SUTO: Mon.Not.R.astr.Soc.218. 637-649 (1986)
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[Publications] Ken-ichi ISO: Phys.Lett.169B. 337-342 (1986)
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[Publications] Hideo KODAMA: Int.J.Mod.Phys.A. 1. 265-301 (1986)
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[Publications] Naoteru GOUDA: Progress of Theoretical Physics. 76. 1016-1035 (1986)
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[Publications] M.KAWASAKI: Phys.Lett.169B. 280 (1986)
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[Publications] M.TAKAHARA: Phys.Lett.174B. 373 (1986)
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[Publications] M.KAWASAKI: Phys.Lett.178B. 71 (1986)
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[Publications] Akio HOSOYA: Nucl.Phys.B. 283. 657-668 (1987)
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[Publications] Akira TOMIMATSU: Progress of Theoretical Physics. 76. 639-644 (1986)
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[Publications] 成相秀一: 天文月報. 79. 764-64,93-9 (1986)
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[Publications] Misao SASAKI: Progress of Theoretical Physics. 76. 1036-1046 (1986)