1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61304007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 景一 東大, 理学部, 教授 (40011481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 律 名古屋大学, 理学部, 助手 (10124314)
森沢 正昭 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (40013594)
能村 堆子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (30022578)
渡辺 良雄 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00015918)
毛利 秀雄 東京大学, 教養学部, 教授 (70012268)
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Keywords | 鞭毛 / 繊毛 / 微小管 / 細胞運動 / 精子 / カルシウム / ダイニン |
Research Abstract |
今年度は、協力研究態勢を整備するとともに以下に概略を示す如く、多大の新知見を得た。1.微小管のすべりとその制御について:ウニ精子鞭毛軸糸内における微小管のすべり運動の力-速度曲線の形は、ATP濃度により影響を受けない。テトラヒメナ繊毛におけるすべり運動は、高ATP濃度では3段階で起る。2.軸糸構造要素の機能について:内腕・外腕を部分欠損したクラミドモナス変異株の新型を3種単離し、運動を解析した結果、内腕の大きな欠失により運動性が失われることが示唆された。ウニ精子鞭毛からは、内腕に相当すると考えられる分子量450Kdと120Kdのペプチドを精製し、これらの生理的機能について検討を進めている。ウニ精子鞭毛より精製したBバンド蛋白質の電顕観察によると、この蛋白質はスポークヘッドではないかと思われる。また、マガキ精子鞭毛とテトラヒメナ繊毛のチューブリンのアイソタイプを同定し、これらの性質について検討を進めている。3.鞭毛・繊毛の運動性・運動パターンの制御について:【Ca^(2+)】依存性の反応であるゾウリムシの繊毛逆転時には、繊毛打抑制の一時的解除がみられる。この時細胞内【Ca^(2+)】濃度は変化しない。細胞モデルではトリプシン処理により【Ca^(2+)】感受性が失われる。ウニ精子の鞭毛停止反応は、軸糸内の特定の微小管のすべりが【Ca^(2+)】で抑制されることにより起る。ウニ幼生の繊毛運動の【Ca^(2+)】感受性の発生に伴う変化を解析した。テトラヒメナ繊毛のカルモジュリン結合性蛋白質のいくつかは微小管に結合する。クラミドモナス鞭毛から中心小管が抜け出すと運動パターンが変る。ニジマス精子の運動開始の引き金をひく15Kdタンパク質を精製した。二枚貝側繊毛の繊毛打頻度が、セロトニン、cAMPにより増加する機構を解析した。以上のような成果をふまえ、今後はさらに研究態勢を強化して、鞭毛・繊毛運動の制御機構の解明を目指す。
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[Publications] I.R.Gibbons: Nature. 325. 351-352 (1987)
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[Publications] 高橋景一: 生体の科学. 37. 348-350 (1986)
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[Publications] S.Ishijima: Gamete Res.13. 185-197 (1986)
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[Publications] A.Murakami: Comp.Biochem.Physiol.C.
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[Publications] A.Murakami: Comp.Biochem.Physiol.C.
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[Publications] M.Morisawa: Develop.Growth Differ.28. 13-15 (1986)
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[Publications] S.Morisawa: J.Exp.Biol.126. 89-96 (1986)
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[Publications] M.Morisawa: J.Exp.Zool.
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[Publications] K.Ishida: Develop.Growth Differ.29. 47-56 (1987)
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[Publications] M.Degawa: Comp.Biochem.Physiol.85A. 83-90 (1986)
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[Publications] Y.Mogami: Nat.Sci.Rep.Ochanomizu Univ.37. 169-172 (1986)
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[Publications] S.A.Baba: Cell Motil.Cytoskel.7. (1987)
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[Publications] T.Oka: J.Exp.Biol.126. 111-117 (1986)
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[Publications] Y.Nakaoka: J.Exp.Biol.127. 95-105 (1987)
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[Publications] A.Izumi: Cell Motil.Cytoskel.7. (1987)
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[Publications] Y.Nakaoka: J.Exp.Biol.
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[Publications] M.Okuno: Clinic.Endocrinol.34. 150-159 (1986)
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[Publications] F.Iwasa: Zool.Sci.
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[Publications] T.Okagaki: J.Cell Biol.103. 1895-1902 (1986)
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[Publications] R.Kamiya: Cell Motil.Cytoskel.6. 580-585 (1986)
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[Publications] 内藤豊: "新生理学大系1(原生動物細胞)" 医学書院, 16 (1986)
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[Publications] 森沢正昭: "回遊魚の生物学" 学会出版センター, 16 (1987)