Research Abstract |
二年次の本年も, 各班員は計画通り各分担事項の研究を継続した. 新山は乳幼児のBMRをフード法により追加測定し, 従来の基準値とほぼ等しい値を得た. また昼寝中, および目覚め直前の代謝を測定し, 昼寝中の代謝はBMRより減少するが, 目覚め直前にはほぼBMRと等しい代謝レベルに回復することを明らかにし, BMR測定条件に関する問題提起を行った. 堀は思春期のBMRを追加測定するとともに, 同一被検者を1年間追跡し, 発育および初潮がBMRに及ぼす影響を観察した. その結果, 身長や体重が急激に増加する思春期にあっては, BMR/KgやBMR/m^2は, ほぼ直線的に低下する傾向にあること, および初潮があるとその前後でこのBMRの下がり方が少ないか, あるいはむしろ増える傾向にあることを認めた. 渡辺と小林は中高年のBMRを測定し. 従来の基準値よりやや高い値を得た. 加えて, BMRと関連する身体上の, あるいは生活上の諸要因の分析を進め, この年代のBMR/m^2と関連する要因としては, 男性では体温(正), 女性では年齢(負), 体温(正), 呼吸商(正), 生活活動指数(負), T3(正)がそれぞれ有意な相関関係を示したが, 最大酸素摂取量はなんら関連性を認めなかった. 高齢者のBMRを分担した臼谷・菅原は, 今年度は老人ホームに入所している80歳老人のBMRを測定し, 従来の基準値よりやや低い値を得た. 鈴木は測定室温の違いによるBMR, 安静代謝への影響を調べ, 冬20℃での測定のみが, 冬23℃, 夏20℃, 夏25℃に比べ若干高いことを見い出した. また, K^<40>の測定から人体の除脂肪体重(LBM)の推定を行い, これが体重と皮下脂肪厚により75%推定できることを重回帰分析より明らかにした. 以上の研究成果は,1988年2月東京に持ち寄り, 全班員間で検討するとともに, 次年度への研究課題を整理した.
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