Research Abstract |
昨年度は分担研究の多くは予備実験ないし本実験の端緒に就いた段階であったが, 本年度はかなりの研究の進展を見. 63年1月30日に名古屋における班会議で報告された. 発汗機能に関する研究では, 堀は, 下肢温浴法による発汗機能を, 男子高齢者と男子若年者について比較し, 前者は後者に比し, 発汗発現時の口内温が高く, 温浴による発汗量が少なく, 口内温の上昇度が大きくなる傾向を認めた. 白木は, 高齢者の暑熱暴露時の発汗・循環機能を調べ, 高齢者で高体温となるのは, 発汗機能の低下によるよりも, むしろ循環機能の低下により, 産熱臓器から皮膚への熱伝達能が低下することによると結論している. 小川らは, 反復上肢温浴による汗腺訓練策果を, 男女の高齢者, 若年者について比較し, 女子は男子より訓練効果が著しく現れるものが少ないが, 男女とも高齢者ではその効果が減少する傾向にあることを認めた. 永坂らは, 手を浸漬した温水の温度を段階的に上昇させたときの指皮膚の血流及び皮膚交感神経活動に対する加齢の影響を調べ, 加齢による指血管収縮反応と皮膚交感神経発射増加率の低下を示唆する観察を得た. 中山らは, 女子高齢者及び若年者に, 暑熱環境下における快適気流を選択させ, 高齢者の方が快適申告をする傾向が高いが, その際末梢皮膚温は低下し続ける傾向を見, 皮膚血流調節反応及びそれと主観的反応の解離を示唆した. 森本は, 280名の高齢者を対象に, 高齢者にも容易に適用できる最大下作業テストとして案出したSelf Paced Step Testを負荷し, この際の心拍応答より運動能力の定量化を試み, その有用性を示唆した. 佐々木は, 70歳以上の高齢者52名(男12名, 女40名)について, 栄養調査を冬季及び夏季に実施し, 夏季の摂取熱量は冬季に比し約10%低下し, 栄養素別にも同様の傾向を見た. また摂取熱量は調理者の年齢にも左右されることを認めた. 食塩摂取量には季節差なく, 取り過ぎの傾向を認めた.
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