1988 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピンエコーおよびスピンエコーENDORによる遷移金属錯体の構造化学的研究
Project/Area Number |
61430012
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩泉 正基 東北大学, 非水溶液化学研究所, 教授 (70006295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 裕範 東北大学, 非水溶液化学研究所, 助手 (10176985)
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Keywords | 電子スピンエコー / ESE / スピンエコーENDOR / ESEーENDOR / パルスENDOR |
Research Abstract |
初年度から続けられてきた電子スピンエコーおよびスピンエコーENDORの製作は、本年度の前半においてほぼ実用に供しうる状態に達した。電子スピンエコーに関しては2パルス方式、および3パルス方式のいずれの方法によっても測定が可能となった。電子スピンエコーに関してはこの後、実際の測定スペクトルから必要な情報を取り出す解析過程が問題となる。即ち、時間の関数として測定された信号を周波数関数に変換する操作が必要であり、通常このような操作はフーリエ変換により行われる。しかしマイクロ波パルス印加後のデットタイムの大きな本研究のような系においては、フーリエ変換により方法はゴーストピークを与え、これがデータ取り扱い上の大きな問題点であり、解決のための種々の方法が検討されてきた。我々はこの解決法について種々検討した結果、マクシマムエントロピー法(MEM)と呼ばれる方法が、他の方法より非常に有効であることがわかり、これによりデータ処理を行うことにした。実際の応用測定としては、従来のESR、ENDOR法では観測困難である平面型銅(II)錯体の軸位の配位した配位子との超微細相互作最、イミダゾール銅(II)錯体のイミダゾール遠位窒素の超微細相互作用、バナジル(IV)錯体の面内配位子の超微細相互作用、ポリフィリンコバルト(II)錯体におけるポルフィリン環超微細相互作用の電子スピンエコー法による観測を試み、本研究で取りあげた電子スピンエコー法が遷位金属錯体の構造化学的研究の極めて有効であることを実証することができた。またスピンエコーENDOR法に関しては、従来のENDOR法との対比により、高い時間分解能の点で動的過程の研究に有効な手段であることが示された。本格的な本方法による研究の展開は今後の課題ではあるが、新しい視点に立った錯体化学研究への基礎が得られたと考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Iwaizumi;R.Miyamoto;Y.Ohba: Proc.Bulg.Mol.Spectrosc.(1989)
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[Publications] M.Iwaizumi;T.Kudo;Y.Ohba;S.Kita: Chinese J.MW.RF.Socetrsc.(1989)
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[Publications] Y.Ohba;Y.Yoshida;S.Kawata;M.Iwaizumi: Inorg.Chem.
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[Publications] Y.Ohba;Y.Yoshida;S.Kawata;M.Iwaizumi: J.Magn.Reson.