1987 Fiscal Year Annual Research Report
米粒中におけるアミノ酸組成ならびにビタミン類に関与する変異体の探索
Project/Area Number |
61440008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大村 武 九州大学, 農学部, 教授 (40038170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 光 九州大学, 農学部, 助教授 (70128031)
岩田 伸夫 九州大学, 農学部, 助教授 (50038204)
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Keywords | コメ / アミノ酸組成 / メチルニトロソウレア / 受精卵処理 / 突然変異 / 成分育種 / 高速液体クロマトグラフィー(HPLC) / 貯蔵蛋白質 / リジン / ガスクロマトグラフィー / リノール酸 |
Research Abstract |
コメの栄養価の向上をめざし, 米粒中のアミノ酸組成ならびにビタミン類に関する遺伝子資源の探索, 収集を行っているが, 本年度は主としてアミノ酸組成に関する遺伝子の探索を行った. 材料には, 水稲品種「金南風」および「台中65号」の受精卵をメチルニトロソウレア処理して得た貯蔵蛋白質等, 胚乳形質に関する突然変異系統について, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて, アミノ酸組成を分析した. 「金南風」由来の貯蔵蛋白質顆粒に関する変異体の胚乳貯蔵蛋白質のアミノ酸組成は, 原品種と大きな違いは認められず, コメ蛋白質の良質性が維持されており, これら変異体が, コメ蛋白質改良に有効な素材となりうることが示唆された. 一方, 米粒中のアミノ酸組成は他の穀類に比べて良質であるが, なおリジンおよびスレオニンが必須制限アミノ酸となっており, これらの含有率を高めることが, コメの高品質化の課題の一つである. 「金南風」および「台中65号」のアミノ酸組成はほぼ同一で, そのリジンおよびスレオニン含量がは, ともに5%前後であった. 突然変異系統のHPLC分析の結果, リジン含量6.90〜7.79%と原品種に比べ25〜40%増加した変異体16系統を得た. また, 「金南風」の高リジン突然変異系統は, いずれもヒスチジンの増加を伴っていた. しかし, スレオニンについては, 分析した約400の突然変異系統中には, 顕著に増加した変異体は見い出せなかった. 米粒中のアミノ酸組成に関する変異体選抜の例は少なく, 本研究で得た結果は, イネのアミノ酸組成改良の可能性を示唆するとともに, アミノ酸組成の遺伝的制御機構解明に有力な資料を提供すると期待される. 一方, ビタミン類はガスクロマトグラフィーを用い, 必須脂肪酸の変異体の探索を行い, リノール酸含量の高い変異体を見い出した. 現在, これらの変異体の詳細な特性解明を進めるとともに, 新たにMNU処理した系統について分析を進めている.
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