1988 Fiscal Year Annual Research Report
顕微分光法による木材成分の生成及び分解過程の組織化学的研究
Project/Area Number |
61440016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深沢 和三 北海道大学, 農学部, 教授 (40001408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 實 北海道大学, 農学部, 助教授 (50003124)
笹谷 宣志 北海道大学, 農学部, 教授 (80001410)
香山 彊 北海道大学, 農学部, 教授 (60101135)
高野 圭司 北海道大学, 農学部, 助手 (70183449)
大谷 諄 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001465)
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Keywords | 木材細胞壁 / 顕微分光 / 組織化学 / リグニン / 堆積 / 分解 |
Research Abstract |
2月13日に研究打ち合わせ会議をもち、研究結果の討議を行ない、また来年度のことについて打ち合わせた。1.紫外光による写真装置が納入され、これにより本システムの一応の完成をみた。2.ポプラカルスよりの植物体再生の過程の研究で本装置を使用した。カルスの状態ではリグニンの生成は認められないが、カルスから僅かに萌芽が見られるようになると、器官分化が起こりリグニンの沈着が認められた。この様に器官分化の研究に本装置は極めて有効であった。3.繊維のオゾン処理による脱リグニン過程が、紫外線写真上で明瞭に捕えられた。溶出並びに残存リグニンの性質も本装置で調べられた。4.カラマツのターミナル部の仮道管の木化の過程を調べた。形成層に接するこれ等の成熟した細胞群は、越冬中も活性を失わず翌年の春まで木化を進行させた。結果として一般に木化度の低い晩材から、年輪境界では高い木代度を示した。4.ブナ木繊維のリニンの年輪内分布の不均一性を調べた。リグニンの性質を調べるために紫外線吸収スペクトルを見るだけでなく、モイレ反応やフロログルシン反応などの呈色反応と、その可視部吸収スペクトルの解析を組み合わせることによって、かなり信頼性の高い情報を引き出せることが分かった。すなわち木繊維2次壁では早材部でシリンギルリグニン、ターミナル部になると再びグアイアシルリグニンが増える。道管2次壁では早材部ではグアイアシルリグニンからなり、晩材部に移行するにともないグアイアシルリグニンが減少してシリンギルリグニンが増えてくることが分かかった。5.顕微分光装置は木材組織と木材化学を結び付ける重要な機器である。誰にでも使用できるような有効なマニュアルを作成することが緊急課題であることを確認した。6.来年度は最終年度であり残された問題について討議した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小島康夫,尹承洛,香山彊: 木材学会誌. 34. 697-701 (1988)
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[Publications] 小島康夫,尹承洛,香山彊: 紙パ技協誌. 42. 53-62 (1988)