1989 Fiscal Year Annual Research Report
顕微分光法による木材成分の生成及び分解過程の組織化学的研究
Project/Area Number |
61440016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深沢 和三 北海道大学, 農教部, 教授 (40001408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
氏家 雅男 北海道大学, 農学部付属演習林, 教授 (20001422)
寺沢 實 北海道大学, 農学部, 教授 (50003124)
笹谷 宜志 北海道大学, 農学部, 教授 (80001410)
高部 圭司 京都大学, 農学部, 助手 (70183449)
大谷 諄 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001465)
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Keywords | 木材細胞壁 / 顕微分光 / リグニン / 紫外線顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 / 木材成分 |
Research Abstract |
2月27日に研究打ち合わせ会議をもち、本年度の研究結果の報告と討議及び研究成果の印刷発表について打ち合わせを行なった。本年度の成果は次のとおりである。1.ブナ木部細胞2次壁リグニンの年輪内での不均質性については、木化に要する時間の長さとグアイアシルリグニンとシリンギルリグニンとの比との関連性を討議した。2.ブナ生立木に傷害を与えた場合、木部形成に及ぼす影響は様々であった。既に成熟している木部には傷害チロ-スの生成とガム状物質の沈積、成熟中の木部ではその成熟が阻害されての異常細胞化、分化中の木部では脱分化現象が現われて全細胞の柔細胞化、傷害を与えた以後に形成されたものでは方向性及び細胞形状の異常化のような現象が生じてきた。また細胞壁・細胞質ともポリフェノ-ル状の物質が増加した。3.チシマザサ維管束の木化過程を紫外線顕微鏡写真で調べた。4.中国南部の熱帯産広葉樹のリグニンの不均質性を顕微分光法で見ると共に、アルカリ性ニトロベンゼン酸化法によりシリングアルデヒドとバニリンの比(S/V)を求めた。その結果いままで発表されている温帯産の広葉樹と異なり、供試5樹種のすべての構成要素のリグニンはグアイアシル型に富むこと、アルカリ可溶のリグニンは柔細胞壁に多いこと、クラソンリグニン量の多い樹種ではS/V比は低いが、アルカリ抽出後高くなることを見出した。5.高収率パルプの紫外線顕微鏡観察の結果は、尹承洛氏の学位論文の一部及び香山らの日本紙パルプ技術協会賞の一部として高く評価された。6.樹木成分及びリグニンモデル物質と顕微分光について取り纏めた。7.蛍光顕微分光分析と木材組織化学研究について予備的に実験した。8.研究成果についてはB5版、10章構成とし分担を定めた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 尹承洛,小島康夫,香山彊: "広葉樹CTMPのオゾン処理後の抽出処理によるパルプ特性の変化" 日本木材学会北海道支部講演集. 20. 45-50 (1988)
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[Publications] Terashima,N.,K.Fukushima,Y.Sano and K.Takabe: "Heterogeneity in formation of lignin.X.Visuarization of lignification process in differentiating xylem of pine by microautoradiography." Holzforschung. 42. 347-350 (1988)
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[Publications] 尹承洛,小島康夫,狭山彊: "高収率パルプの紫外線顕微鏡観察" 北大農演研報. 46. 405-424 (1989)
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[Publications] 呉晋,深沢和三,大谷諄: "UV顕微分光法による数種雲南材のリグニン分布" 日本木材学会北海道支部構演集. 21. 61-64 (1989)
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[Publications] Kudoh H.,S.Takikawa and M.Ujiie: "Rooting of Hlba(Thujopsis dolabrate var.hondai)cuttings in different cultural beds and growth of their rooted cuttings in plantation." J.Jpn.For.Soc.71. 200-203 (1989)
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[Publications] Takabe,K.,K.Fukazawa and H.Harada: "Deposition of cell wall components in conifer tracheid,In“Plant wall polymers"N.G.Lewis and M.G.Plaice ed." American Chemical Society Symposium Series 399,Ame.Chem.Soc.,Washington DC, 47-66 (1989)
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[Publications] Fukazawa K.: "Ultraviolet microscopy.In“Methods in lignin chemistry"C.W.Dence and S.Y.Lin ed." Springer Verlag.Berlin, inpress (1990)