1988 Fiscal Year Annual Research Report
海産魚の種苗生産における歩留り向上と健苗育成に関する基礎的研究
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61440018
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笠原 正五郎 広島大学, 生物生産学部, 教授 (50034442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今林 博道 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (80136142)
難波 憲二 広島大学, 生物生産学部, 教授 (10034472)
高橋 正雄 広島大学, 生物生産学部, 教授 (70034444)
室賀 清邦 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30011993)
中川 平介 広島大学, 生物生産学部, 教授 (00034471)
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Keywords | 仔稚魚の体成分変化 / 仔稚魚の器官形成 / 甲状腺ホルモン / ホスホリパーゼA_2 / 生物餌料の摂取 / 餌料生物の細菌叢 / クロソイのビブリオ病 / 仔稚魚の脂質蓄積 |
Research Abstract |
本年度の研究成果の要点は以下の通りである。1.甲状腺ホルモンは、マダイ仔稚魚の形態のみならず行動様式の変化にも重要な役割を演じている。2.マダイ仔稚魚の視蓋と小脳は、孵化後30ー37日目頃から急速に発達するが、これは底棲移行期に稚魚の行動が俊敏になるとの知見と一致する。端脳は42日後も未発達である、したがって嗅覚はまだ働いていないと認められた。3.マダイ成魚の腸管からホスホリパーゼA_2を抽出・精製し、免疫組識学的に当酵素の存在部位を調べ、稚魚後期・成魚とも腸管上皮であることを認めた。4.マダイ肝膵臓からホスホリパーゼA_2の分離・精製に成功し、その分子量はゲル炉過、SDS-PAGEで約2.1万である推定された。5.マダイ・クロダイ稚魚の筋持久力の発達を、電気刺激による等尺性単収縮の疲労曲線から数量的に求め得ることを明らかにした。6.マダイ稚魚の逃避反応、回避条件反応等の形成速度には、2月令と6月令の個体の間で差が認められなかった。7.廃止塩田池のマダイ種苗の放流実験において、放流前飼育の餌条件が池での摂餌様式に反映し、群れ内の大型・小型個体間に「食い分け」現象(餌組成ー胃充満度)が見られた。8.シオミズツボワムシ体内の細菌に対し、ニフレスチン酸ナトリウムの薬浴(5μg/ml)は顕著な効果を有し、特にVibrio属細菌の著減が確認された。9.クロソイにおけるVibro ordaliiの侵入門戸は鼻腔と考えられ、侵入後は比較的速かに全身感染の症状を呈することが明らかとなった。10.マダイ稚魚の肝臓には、孵化後40日頃から脂質の蓄積が始まり、83日頃(50mm)まで筋肉の脂質蓄積が次第に増加し、50mm以上の稚魚は比較的長期間の絶食に耐えられることを認めた。11.瀬戸内海におけるマダイ種苗の放流後の脂質蓄積量の季節的変化から、放流後初期あるいは越冬期の絶食に耐えるエネルギーの蓄積が、その生残を左右する重要な要素であると推察された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sasaki,K.;Kurokura H.;Kasahara S.: Comparative Biochemistry and Physiology. 91A. 183-187 (1988)
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[Publications] Tanasomwang,V.;and Muroga,K.: Fish Pathology. 23. 77-83 (1988)
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[Publications] 加藤尚,黒倉寿,中川平介,笠原正五郎: 日本水産学会誌. 55. (1989)
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[Publications] Tanasomwang,V.;and Muroga,K.: Fish Pathology. 24. (1989)
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[Publications] Hirata,Y.;Kurokura,H.;Kasahara S.: Nippon Suisan Gakkaishi. 55. (1989)
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[Publications] Nakagawa,H,;Imabayashi,H.;Kurokura,H.;Kasahara,S.: Asian Fisheries Science. (1989)