1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440026
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Research Institution | Okazaki National Research Institute |
Principal Investigator |
金子 章道 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00051491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 政夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60132734)
大塚 輝彌 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10051814)
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Keywords | 網膜 / 単離細胞 / カルシウム電流 / γアミノ酪酸 / グリシン / 双極細胞 / マウス |
Research Abstract |
62年度の研究でマウスなど温血動物の網膜から網膜細胞を効率よく単離することが出来るようになったので、今年度はマウスの網膜細胞を対象としてこれまで得られた冷血動物(キンギョ、カメ)の結果と対比しつつ研究を進めた。すなわち、マウスの単離双極細胞の電位依存性膜電流を記録したところ、以前に解析した冷血動物の双極細胞と類似の電流が記録できたが、そのうちカルシウム電流はキンギョの双極細胞と性質を異にするものであることが明らかになった。マウスのカルシウム電流は一過性で不活性化が早く、ヂヒドロピリジンには影響を受けないことからT型に分類される。マウスのカルシウム電流は軸索終末部にも存在すること、カルシウム電流の活性化は双極細胞の生理的な動作範囲にあることなども明らかになった。これらの知見は双極細胞が光刺激によって持続性に脱分極しても、流入するカルシウム電流は一過性であり、そのため伝達物質の放出も一過性である可能性を示している。神経節細胞やアマクリン細胞への興奮性入力が一過性であれば、これらの細胞は一過性の光応答を示すものと考えられる。 また、マウスとキンギョでは双極細胞の抑制性伝達物質に対する感受性が異なっていることも判明した。すなわち、キンギョの双極細胞は特に軸索終末部において、γアミノ酪酸のみに高い感受性を示すのに対し、マウスの双極細胞はγアミノ酪酸の他、グリシンにも強い応答を示した。基本的な神経機構としてのアマクリン細胞から双極細胞への側抑制は脊椎動物種を通して存在するが、これらの知見はこのシナプスで用いられている伝達物質には種差が存在することを示している。
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[Publications] Tachibana,M.;Kaneko,A: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 85. 5315-5319 (1988)
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[Publications] Tachibana,M.;Kaneko,A.: Biomed.Research. 9(suppl.2). 53-54 (1988)
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[Publications] Tachibana,M.;Kaneko,A: Neurosci.Research. Suppl.8. 59-68 (1988)
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[Publications] Tachibana,M.;Kaneko,A: Visual Neurosci.1. 297-306 (1988)
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[Publications] Yagi,T.;Kaneko,A.: J.Neurophysiol. 59. 482-494 (1988)
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[Publications] Kaneko,A.;Pinto,L.H.;Tachibana,M.: J.Physiol.(1989)