1988 Fiscal Year Annual Research Report
老化促進モデルマウスにみる老化諸病態の発症機序と発症予防に関する実験的研究
Project/Area Number |
61440033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹田 俊男 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (00027088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 京一 京都大学, 胸部疾患研究所, 講師 (20173156)
細川 昌則 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (00127135)
鈴木 康弘 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (90027110)
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Keywords | 老化促進モデルマウス(SAM) / 促進老化 / 老化アミロイド症 / 白内障 / 骨粗鬆症 / 学習・記憶障害 / 変形性顎関節症 / 老化制御 |
Research Abstract |
1.系統維持のための日常的業務として(1)生後経時的に老化度判定基準に基づき老化度評点をつけ、その加齢に伴う変化の観察(2)平均寿命算定(3)死亡例の病理的検討を行い、SAMーP7系統、SAMーR3系統が順調に維持され、夫々特徴的な老化病態が安定して発現していることが確認された。2.老化アミロイド症の病態解明の有力な手段としてアミロイドの生化学的定量法の開発が強く期待されてきたが、漸く私達の研究によりこの難関が突破された。即ちThioflavin Tなる蛍光色素を用い線維状となったアミロイドが(前駆体は反応しない)この色素と結合する特性を利用したngレベルで検出可能な微量定量法である。3.骨粗鬆症モデルP/6系を用い病態解明の一連の研究が行われ(1)P/6系と正常骨量P/2系とのF_1雑種を作製し2ケ月齢の骨髄細胞をP/6系新生仔に静注し、生後 齢に屠殺、骨量を検討したところP/6の骨量が有意に増加した。なおP/6系の細胞がP/6系の中で生存即ちキメラが形成されていることが確認された。(2)テトラサイクリン標識により骨形成能を検討したところ、生長期大腿骨のendosteal formationがP/6系で有意に正常骨量P/2、R/1系に比し低いことが分った。(1)(2)の事実はP/6の低骨量状態を理解する上で重要なデーターと考える。4.R/3系にみられた白内障を選抜をくり返す中で生後10ケ月で75%の頻度にまで高めることができた。R/3にみる白内障は炎症性変化が先行することなく純粋な老年性白内障と考えられる。5.学習記憶障害を示すP/8系脳を用い脳幹部海綿状変性について経時的に超微形態学的検討を加えたところ、生後1.5ケ月頃より見られるbasal dendriteのpost synapsisの水腫性変化ついで2ケ月頃よりmylinのmajor dense lineでの解離即ち脱髄で、これらが時間と共に重篤となり空泡形成につながることが明らかとなった。なおウィルス粒子は認められなかった。6.SAM各系は程度の差こそあれ変形性顎関節症を発症するがP系でR系より重篤で中でもSAM-P/3系は生後12ケ月齢で100%の発症頻度である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Naiki,H.;et al.: American Journal of Pathology. 130. 579-587 (1988)
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[Publications] Hosokawa,M.;et al.: Experimental Eye Research. 47. 629-640 (1988)
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[Publications] Yagi,H.;et al.: Brain research. 474. 86-93 (1988)
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[Publications] Naiki,H.;et al.: Analytical Biochemistry. 177. (1989)
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[Publications] Yagi,H.;et al.: Journal of Neuropathology and Experimental Neurology. (1989)
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[Publications] Yoshioka,H.;et al.: Clinical and Experimental Immunology. (1989)
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[Publications] Takeda,T.;et al.: "Proceedings of the First SAM Kyoto Symposium" Fuji Printing Business Company,Kyoto, 104 (1988)
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[Publications] 秋口一郎 他: "老人性痴呆症と脳機能改善薬" シーエムシー東京, 188-193 (1988)