1988 Fiscal Year Annual Research Report
組織修復に対する細胞増殖因子の臨床応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
61440057
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阿部 令彦 慶應義塾大学, 医学部・外科, 教授 (90051028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 政和 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (50142419)
安藤 暢敏 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (90101972)
相川 直樹 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (40110879)
石引 久弥 慶應義塾大学医学部, 外科, 助教授 (10051236)
清水 信義 慶應義塾大学医学部, 分子生物, 教授 (50162706)
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Keywords | 熱傷 / 水疱液 / Fibroblast Growth Factor / 肝再生 / 肝切除 / 肝灌流 |
Research Abstract |
組織修復における増殖因子・受容体の役割を明らかにするため本年度は主に以下の2つの課題に関する研究を行った。 I.ヒト熱傷創水疱中に含まれる増殖因子:前年度はEGFとの関連につき検討を行ったが、本年度はFibroblast Growth Factor(FGF)との関連を検討した。DMEMのみで培養したヒト線維芽細胞にFGFを100ng/mlまで添加しても増殖促進効果は認められなかったが、10%水疱液、10%ヒトplasma、10%ヒトserumを加えたDMEMで培養すると明らかな増殖促進作用がみられたが、EGFと異なり三者の間には差異がみいだされず、その促進作用は約2倍程度であった。 II.肝再生初期にみられる再生シグナル:肝切除後には再生初期のシグナルとしてc-myc、c-fosの発現上昇が認められるが、この現象が肝切除のみによるのか、何らかの体液成分によって惹起されるのかを明らかにするためMortimoreの変法によりラット肝灌流を行い、precirculation後にHiggine & Anderson法によって2/3肝切除を行った。その後経時的にサンプリングを行い、LiClを用いてRNAの抽出を行った後、c-myc、c-fosの発現をそれぞれのprobeを用いたNorthern blot analysisで検討した。internal standardとしてappbyしたRNA量を求めるためactinに対するprobeで同じくNorthern blot analysisを行った。肝灌流することなく単に肝切除を行ってc-mycの発現をみると他の報告者と同様に60分で明らかな発現がみとめられた。次にMortimoreの変法により肝灌流を行い、その後肝切除を行っても60分後にはc-mycの発現上昇が全く同様に認められた。c-fosの発現も肝灌流を行ったあと肝切除しても肝灌流を行わないで肝切除を行った群と同様の傾向を示した。以上のデータは肝切除後にみられる再生初期シグナルには体液成分ではなく肝切除の刺激のみで惹起される部分があることを示唆しているものと考えられる。
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[Publications] 上田政和: 最新医学. 43. 1849-1850 (1988)
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[Publications] Ozawa.Soji: Jpn.J.Cancer Res. 79. 1201-1207 (1988)
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[Publications] Amagai.M: British Journal of Dermatology. 119. 661-668 (1988)
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[Publications] 上田政和: 日本臨床.