1986 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈外科領域におけるレーザーの応用と末期的症例の対策
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61440061
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 昌義 神戸大, 医学部, 助教授 (70030856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 克也 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (30135800)
小澤 修一 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (60116209)
笹田 明徳 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (20178677)
中村 和夫 神戸大学, 医学部, 教授 (50030820)
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Keywords | 冠動脈外科 / 【CO_2】レーザー / レーザーによる血管吻合法 / レーザー出力と組織反応 / 血管吻合の至適条件 |
Research Abstract |
現在、冠動脈外科を含む血管外科領域での目下の関心事は、細小血管の吻合をいかにすれば長期の開存性をうるかであろう。かかる問題点を解決すべく、レーザーを用いる血管吻合の基礎的研究を行い、本年度は以下の成果をえた。 1)【CO_2】レーザーの出力と大動脈壁との組織反応を検討した結果、レーザー出力50mW以上で1カ所の照射時間が10秒以上に及ぶと組織の蒸散,炭化,膨化所見が出力と時間に応じて認められた。2)そこで50mW以下の低出力の範囲でレーザーによる血管吻合に必要な条件を検索した。その結果、レーザー出力20〜40mW、照射時間6〜12sec/mmが至適条件である事実を立証した。3)その後、上述の条件下で冠動脈をはじめ四肢の細小血管での吻合手技を検討した。その結果、(a)吻合部の血管断端を数本の支持糸を使用して密着させること、(b)縫合線上にfocused beamをゆっくりと照射することなどが手技上重要であることが判明した。4)一方、レーザーによる血管吻合部が從来の縫合糸による吻合部と強度の面でいかなる差異があるかを、耐圧並びに抗張力の面から検討した。その結果、レーザーによる血管吻合終了後に吻合部からの出血が存在しなければ、動脈圧が300mmHgと上昇しても出血しない事実を確認した。また吻合部の抗張力試験においても、レーザー吻合部の抗張力が950〜1100gであるのに対して縫合糸でのそれは1100〜1300gであり、両者間に大差のない事実も判明し、レーザーによる吻合部が予想外に強固に癒合している現象が証明され、レーザーによる血管吻合の臨床応用への糸口をつかむことができた。 他方、内胸動脈と冠動脈前下行枝との吻合をbeating heart下に数本の支持糸を用いるのみで実施可能な事実をも確認した。本年度は、以下のごとき基礎的研究を行い、臨床応用への重要な裏付けをうることができ、有意義であった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 岡田昌義,清水一太,堀井弘幸,生田博,奥野邦男,松田昌三,中村和夫: 日本外科学会雑誌. 86. 1203-1207 (1985)
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[Publications] 岡田昌義,堀井弘幸,清水一太,生田博,久保田真毅,今井雅尚,中村和夫: 日本レーザー医学会誌. 6. 525-530 (1986)
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[Publications] 岡田昌義: 臨床胸部外科. 6. 207-219 (1986)
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[Publications] 岡田昌義,中村和夫: 日本外科学会雑誌. 87. 1013-1016 (1986)
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[Publications] 岡田昌義,清水一太,生田博,堀井弘幸,中村和夫: 医学のあゆみ. 139. 411-412 (1986)
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[Publications] 岡田昌義,生田博,清水一太,堀井弘幸,中村和夫: 日本レーザー医学会誌. 7. 113-114 (1987)
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[Publications] 岡田昌義: "臓器移植を考えるもう一つのいのち-血管吻合法-" 河北新報社, 0)310(137-14 (1986)
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[Publications] Okada,M.;Nakamura,K.: "Nd:YAG Laser in Medicine and Surgery;Laser application in the fields of cardiovascular surgery" Professional Postgraduate Services, 651(319-328) (1986)