1986 Fiscal Year Annual Research Report
増殖性硝子体網膜症(PVR)の発生機序とその予防に関する研究
Project/Area Number |
61440075
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 孔士 京大, 医学部, 教授 (90026930)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 昭 京都大学, 医学部, 助手 (10181158)
石郷岡 均 京都大学, 医学部, 助手 (80135590)
松村 美代 京都大学, 医学部, 助手 (30144380)
上野 聡樹 京都大学, 医学部, 講師 (20109010)
荻野 誠周 京都大学, 医学部, 講師 (50115812)
|
Keywords | 増殖性硝子体網膜症(PVR) / 網膜色素上皮 / グリア細胞 / 細胞骨格 / 細胞遊走 / 網膜剥離 / ミューラー細胞 / アストロ細胞 |
Research Abstract |
現在の網膜復位手術が直前した最大の問題である増殖性硝子体網膜症の発生機序を解明すべく実験研究を行い、次の成果を得た。 (1)細胞骨格の、マーカーによる二重染色によって、臨床的に手術により摘出されたPVRの細胞由来を検討し、上皮性細胞と中杯葉由来の細胞の混在を確認した。その割合は症例によって異なり、治療方針を確立する上での複雑さを追認した。臨床PVRの発生は単発的なものではなく、2種の発生因を持つことが明らかである。この過程で細胞骨格染色法の臨床応用が派生した。(2)グリア由来を示すPVRが存在することがわかり、本症の発生に対してミューラー又はアストロ細胞の研究が必須であることが示された。(3)網膜色素上皮に特異的に反応するモノクロナール抗体が得られた。このことより同細胞の免疫組織学的局在の証明が可能となった。これを応用してPVRの細胞由来を研究できるようになった。(4)PVRの発生に細胞の動きが関与するのではないかとの考えから、ボイデンチャンバーを用いて培養色素上皮細胞の遊走を検査し、プロスタグランディン等の物質が遊走を起したり止めたりする様を観察した。このことよりPVRの発生防止に、遊走阻害による治療の可能性を示した。(5)超高圧電顕によるミューラー細胞の観察,組織化学的方法による同細胞の同定から、手術による網膜の修復に個体差と侵襲特異性があることがわかり、ジアテルミーよりクライオでPVRが好発する原因究明の糸口をつかんだ。(6)網脈絡膜萎縮の自然発生する金魚を発見し、網膜の瘢痕化とPVRの関係についての研究に道を開いた。 以上の研究からPVRの治療には幾多の問題が解決されねばならないことが明確となったが、いくつかの治療の糸口は示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 直井信久,本田孔士: 日本眼科学会誌. 91. 168-173 (1987)
-
[Publications] 吉村長久,山川良治,白川弘泰,荻野誠周 他: 日本眼科学会誌. 90. 647-652 (1986)
-
[Publications] 山川良治,吉村長久,岡田守生,小林博 他: 日本眼科学会誌. 91. 86-86 (1986)
-
[Publications] Shirakawa,H.;Yoshimura,N.;Ogino,N.: Ophthalmic Research. 18. 338-342 (1986)
-
[Publications] Matsumura,M.;Yamakawa,R.;Yoshimura,N.et al.: Graefes Archives of Ophthalmology.
-
[Publications] Shirakawa,H.;Ogino,N.: Ophthalmologica.