1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61440081
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井上 昌幸 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (10013872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 裕子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20143604)
田端 恒雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (20013849)
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Keywords | 歯科用金属 / 臨床試験 / 腐食表面 / EPMA |
Research Abstract |
歯科用合金の腐食は、合金の種類、組成、口腔内の環境、装着期間などにより、様々な形態をとる。今年度はまず、前年度に引き続き分析精度の明らかになったEPMAを用いて、口腔内に長期間装着されていた金属修復物を撤去し、その表面性状の観察と、試料断面の中央付近を鏡面研磨した新鮮面の平均組成に対する試料表面の組成変化の測定を行なっている。これまでの観察、測定によって、合金の種類によって腐食による表面性状や、成分組成の変化に傾向が見られたが、口腔内から撤去された金属は、同一種類の合金でもその成分組成は様々で、異なった腐食形態をとるものや、1試料においても、部位により腐食の状態が異なることなど、複雑な腐食形態を示すことが判明した。そのため、口腔内での歯科用合金の変化を把握するためには、当初計画より多くの試料を検索することが必要となり、引続き分析を続行している。また、歯科用合金の口腔内での初期変化を観察する目的で、市販の組成の明らかな合金でインレーを製作し、SEM及びEPMAを用いて表面性状の観察と組成分析を行った後に仮着し、一定期間経過後、同一部位の観察及び分析を行なった後、再び口腔内に戻し、現在経過観察中である。その一部は、第13回日本歯科理工学会学術講演会(4月2日)において報告予定である。今後は、装着期間をより長期にすると共に、多種類の合金による比較も行う予定である。口腔内において生じる歯科用合金の微細な形態的変化あるいは成分組成の変化を詳細に把握し、各種金属の生体内腐食及び基礎的浸漬試験による腐食の形態的変化、成分組成の変化との類似点、相違点を比較し、口腔内での腐食現象のすべてあるいはその一部を加速シミュレートした、基礎的試験法改善への提言を試みる所存である。
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