1988 Fiscal Year Annual Research Report
藻類プランクトンの増殖に対する水界生物による生態的制御機構
Project/Area Number |
61440096
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
秋山 優 島根大学, 教育学部, 教授 (30032486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 淳一 島根大学, 農学部, 助教授 (00150334)
持田 和男 島根大学, 農学部, 助教授 (30032577)
森 忠洋 島根大学, 農学部, 教授 (20166359)
中村 利家 島根大学, 農学部, 教授 (80155845)
西上 一義 島根大学, 理学部, 教授 (90032408)
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Keywords | 藻類生長仰制効果物質(AGI) / コロニー移植法 / 細胞凝集誘導効果物質(FIX) / アレロパシー現象 / 藻類フロラ変換 |
Research Abstract |
本年度は、藻類の生長に対する阻害効果にスクリーニング法として、従来から用いられているペーパーディスク法、液体培養法、軟寒天重層法以外の新しい簡易法の検索を試みた結果、新たに生細菌の直接的なコロニー移植法を開発した。この方法によって、宍道湖および中海の底質ならびに湖水から分離した菌株中約8%のものにAGI活性能(藻類生長仰制効果)が検出された。これら分離菌の中には、藻類細胞数の減少に先立って細胞内のクロロフィルの含量を急激に低下させるもの、あるいは藻類の共存下のみでAGIを産生するものなど、興味ある作用能を示すものが認められた。またすでにEscherichia coliなどのバクテリアに対する凝集能をもったFIXを産生するNocardia amarae YK1が緑藻類のMonoraphidium Chlorella および藍藻類のMicrocysti saeruginosaなどに対する凝集効果が認められた同時に、新たにFIX以外の物質として、YK1菌体を0.1N NaOHで洗浄し得られる洗液中から、FIX以外にpH4付近でのみ作用能を示すFIZ、アルミニウムイオンに依存して機能するFIAを見出した。海産のZostera 中に含まれる微細藻類に対するアレロパシー効果物質の一つであるカフェー酸について、好アルカリ性菌をモデルとしてその作用機構について検討した結果、MWC-1の呼吸活性に対する効果は0.5mM濃度レベルで内在性基質依存の呼吸速度は30%程度の阻害が認められた。一方、コハク酸添加による呼吸活性促進効果に対しては50%以上の阻害効果を示すのが認められ、さらに膜結合性のコハク酸酸化酵素系に対しては0.5mMレベルで15%程度の阻害が観察され、これらの結果から、カフェー酸が細胞内への基質輸送の阻害に関与する可能性が考えられる。湖沼の底質成分、特に水草類をその主成分とする堆積物では藻類の生長に対し著しい阻害効果があり、さらに藻類のフロラ構成に対しても大きな影響を及ぼすことが認められた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Akiyama: Polarforschung(Accepted in 1988). (1989)
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[Publications] M.Akiyama: Mem.Nat.Inst.Polar Res.(Acceped in 1988). (1989)
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[Publications] 国井秀伸: 水草研究会報. 34. 56-57 (1988)
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[Publications] J.-I.Koizumi: FEMS Microbiol Lett.57. 61 (1989)