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1986 Fiscal Year Annual Research Report

インドネシアに於ける諸民族・部族間の文化摩擦と統合に関する史的研究

Research Project

Project/Area Number 61450051
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

今永 清二  広島大, 文学部, 教授 (60033502)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 植村 泰夫  広島大学, 文学部, 助教授 (40127056)
山下 晋司  広島大学, 総合科学部, 助教授 (60117728)
小林 文男  広島大学, 総合科学部, 教授 (80116582)
Keywordsインドネシア / ナショナルアイデンティティー / イスラム / 慣習法 / エスニックグループ / 都市化 / 民衆 / 分割統治
Research Abstract

本年度は、基本的な文献、資料の収集・整理に努めるとともに、民衆レベルにおけるナショナルアイデンティティー形成の問題を検討してきた。先ず指摘すべきは、この問題が現在進行形である、即ち、インドネシアでは諸エスニックグループ間の矛盾がなお克服されるべき課題であるという点である。この点で、全人口の90%強を占めるイスラムがこれの解決の力になりうるか否かという問題は、独立時にインドネシアがイスラム国家樹立の方向を否定したという状況にもかかわらず、なお検討の余地がある。しかし、イスラムが強いとされる南スラヴェシの事例を検討すると、ここでは民衆レベルでのイスラム受容は慣習法を通して行なわれたことにより、イスラム改革派の活動にもかかわらずそのインターエスニカルな性格は完全ではない。むしろ、例えばウジュンパンダン市の如く、都市化、近代化の進行により人々が慣習法的伝統から脱却しつつあるところで、イスラムは本来のインターエスニカルな性質を回復するのだが、ここでは同時に脱イスラムの過程も進行している。以上のように、イスラムが統合原理となるとは当面考えにくい。さて、近代化・都市化がエスニック間の矛盾を解決する方向を向いていることは確かだろうが、現在のところ、都市でもエスニックグループの集住、特定職業への集中という現象は根強く、また華人に対する反発も強い。これは一面では近代化の不徹底ということだが、もう一面では、分割統治というオランダ植民地支配下の低開発状況に対して、民族運動の政治スローガンとしては統一を掲げつつも、民衆レベルの社会経済活動ではむしろエスニカルな結合が抵抗の基礎に置かれたのではないかと推測させる。以上をふまえ、今後、イスラム改革派が民衆レベルのイスラム受容で果した役割の歴史的再検討、都市と農村の交流史、都市内住民組織のあり方、民衆的社会経済活動の歴史的発掘などが、検討課題となるであろう。

  • Research Products

    (8 results)

All Other

All Publications (8 results)

  • [Publications] Seiji Imanaga: Islamic Cultures in Indonesia(Hiroshima University). 35-52 (1987)

  • [Publications] 小林文男: 月刊状況と主体. 3月号. (1987)

  • [Publications] 山下晋司: 東南アジア研究. 23-4. 129-148 (1986)

  • [Publications] 山下晋司: ライフ・サイエンス. 13-5. 26-29 (1986)

  • [Publications] 植村泰夫: 広島大学文学部紀要. (1987)

  • [Publications] Yasuo Uemura: Islamic Cultures in Indonesia(Hiroshima University). 99-125 (1987)

  • [Publications] 小林文男: "中国現代史の断章" 谷沢書房, 335 (1986)

  • [Publications] 山下晋司: "死の人類学" 弘文堂, 310 (1986)

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Published: 1988-11-09   Modified: 2016-04-21  

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