1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61450093
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Research Institution | College of Aikusa Gakuen |
Principal Investigator |
市川 正己 秋草学園短大, 副学長 (00015489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 眞 秋草学園短大, 国文科, 講師 (20178023)
井上 健 秋草学園短大, 一般教育, 助教授 (40176425)
志村 士郎 秋草学園短大, 国文科, 教授 (90102657)
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Keywords | 黒潮文化圏 / 植生におよぼす黒潮の影響 / 日本東漸文化 / 中村市の音韻 / 四つ仮名 / 上代文学 / 植物分類 / 方言学 |
Research Abstract |
63年度は、八丈島における言語に関する臨地調査を行った。さらに、石廊崎を中心とする伊豆半島南端において地勢・気候・地名・伝承・言語に関する調査を実施し、61年度以来の研究をまとめて『黒潮文化圏における自然環境と言語』という報告書を作製して研究を完成した。以下に本研究で得られた知見を述べる。 1.「黒潮文化圏」という言葉の意味は、黒潮の影響を受ける範囲-地域-の中で、人間がその影響のもとで、長年にわたる歴史生活の結果として独特の文化を形成しているということである。すなわち黒潮による自然の影響のもとに人間の織りなす各種の文化が形成されて、いわゆる「黒潮文化圏」が形成されたと考える。 2.黒潮の影響は特に日本列島の気温・降水量、それらの季節的配分に現れ、夏の高温多湿・台風の影響等が考えられ、それに伴って各種の文化様式に連続性をもたらしている。 3.黒潮が日本列島の植生の分布や種類に影響している事実を黒潮がないと考えた場合の植生がどうなるかというシミュレーションを行なうことによって明らかにした。 4.日本の文化が歴史的に東漸して成立したという考えは、黒潮が東へ向かって流れるということと関係しており、黒潮が日本文化の形成に寄与していることが明らかになった。 5.黒潮の影響を最も受けやすい鹿児島県・高知県・和歌山県などに共通している言語事実として、各地域とも四つ仮名の区別があるか、最近まであったということがある。その中で最も発音の古い状態を保持している高知県中村市の音韻体系を明らかにし、四つ仮名の実態と変化の方向を示した。
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