1986 Fiscal Year Annual Research Report
低温比熱測定を中心にしたセリウムおよびウラン化合物における重いフェルミオンの研究
Project/Area Number |
61460037
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 敏三 広島大, 理学部, 教授 (20004369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 醇児 広島大学, 理学部, 助教授 (30033814)
前野 悦輝 広島大学, 理学部, 助手 (80181600)
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Keywords | 比熱 / セリウム化合物 / 高濃度近藤効果 / 重いフェルミオン系 |
Research Abstract |
まず技術的には、クライオスタットを整備し0.02K〜80Kの広い範囲の音度を実現し、温度計の精密校正と合わせて、比熱の測定を可能にした。本年度実際に測定を実施できたのは、主として2K以上である。いわゆる希薄近藤系から高濃度近藤系への移行を調べるため、【Ce_x】【La_(1-X)】【Cu_6】のセリウム濃度xが0から1までの8個の試料について比熱の測定を行った。その結果、2K以上では、Ceあたりの磁気比熱はxによらずほぼ同じで、Ce間の相互作用が非常に弱く、希薄系と高濃度系の間の違いが大きくないことを確認した。このことは電気低抗の測定結果などによって以前から予想はされていたことであるが、丹念に濃度の関数として比熱を測定することにより実証したのは本研究が最初といえる。この成果はすでに論文として投稿中である。さらに1K以下の予備的実験の結果によれば、重いフェルミオン状態を形成していく過程で、近藤温度のわずかな差を通して濃度による差が現われる傾向がみられ、今後の1K以下の本格的な測定に期待される。 一方、重いフェルミオンのふるまいを示す新物質の探索の結果、CePdInとCePtInが新たに見つかった。これらの物質の電気低抗測定の結果、2K以上では典型的な高濃度近藤系のふるまいを示し、2K以下では【T^2】に比例す寄与があり、重いフェルミオン状態の形成を示唆している。CePdInについては、2K以上の比熱の測定も完了し、その解析から近藤温度や結晶場効果などが明らかになった。この成果は物理学会年会と第18回低温物理学の国際会議で発表の予定である。CePtInの比熱測定とCeNiInの測定をも行う予定である。
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Research Products
(1 results)