1986 Fiscal Year Annual Research Report
金属フタロシアニンを担持する高分子の構造と物性に関する研究
Project/Area Number |
61460211
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
飯塚 英策 信大, 繊維学部, 教授 (70021128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
英 謙二 信州大学, 繊維学部機能高分子学科, 助手 (60126696)
近藤 慶之 信州大学, 繊維学部機能高分子学科, 教授 (10021148)
白井 汪芳 信州大学, 繊維学部機能高分子学科, 教授 (80021153)
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Keywords | 金属フタロシアニンを担持する合成ポリペプチド / 液晶構造の形成 / 液晶の磁場内配向 |
Research Abstract |
1・ポリ(γ-ベンジル L-グルタメート)を合成(重合度240、および1600)し、その側鎖に金属フタロシアニンを結合させた(ポリマーA)。主鎖におけるその担持率は、0.2〜2.8モル%、また、導入した金属はFe(【III】)、Co(【II】)、Ni(【II】)、Cu(【II】)である。2.ポリ(L-リシン)を合成(重合度560)し、その側鎖にFe(【III】)またはCo(【II】)を導入したフタロシアニンを結合させた(ポリマーB)。主鎖におけるその担持率は、0.06〜0.46モル%である。3.ポリマーAは、固体または有機溶媒(ジクロルメタン、ジオキサン)中でα-ヘリックスを形成する。ポリマーBは、有機溶媒(ジメチルスルホキシド)または塩基性pHにおいて同様の二次構造を示すが、担持率の高いものは難溶である。金属フタロシアニンはポリマー主鎖ヘリックスがほどけて作る不規則コイル部分に存在し、その担持率の増加とともにヘリックス含量は減少する。フタロシアニンの一部はダイマーを形成し、その割合は担持率および溶液においては濃度の増加によっても増大する。4.両ポリマーとも高濃度溶液において液晶を形成する。コレステリック液晶相は、ポリマーAのみに認められた。コレステリック構造のピッチはフタロシアニンの担持率とともに増大する。5.液晶状態から風乾によって作製した皮膜において、ポリマーAの主鎖ヘリックスとフタロシアニン環とは共に皮膜面に平行に配向するが、ポリマーBについてはこのような面内配向は認められない。後者については特に、金属フタロシアニンダイマーを介したポリマーの高度な架橋構造の生成が起こっているものと考えられる。6.ポリ(γ-ベンジル L-グルタメート)は液晶状態のとき数千ガウス程度の静磁場内で極めて良い配向を示すが、金属フタロシアニンを担持したものはそのような現象は認められない。フタロシアニンを介する架橋構造形成のためと思われる。
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Research Products
(2 results)