1986 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースのマクロ構造における吸着水の影響について
Project/Area Number |
61460239
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
竹中 はる子 日女大, 家政学部, 教授 (90060574)
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Keywords | セルロース【I】 / 膨潤現象 / 熱分析 / X線解析 / 水分率 / 自由水 / 束縛水 |
Research Abstract |
1 方法 水分共存下に於るセルロース及び水の性質の変化について熱分析(DSC)X線解析(広角,小角散乱)を用いて検討を試みている。 (1)Cell I型の試料として主に綿糸、麻糸を用いた。水分率(Wc)は、水分率=(水の重量/乾燥試料重量)で表わした。 (2)綿糸及び麻糸中の水分率を変化させたときのDSC融解曲線を-60℃〜100℃の間で求めた。水の蒸発が起らないよう密閉型試料パンを用い、昇温連度10k/min、試料量約10mgで測定した。 2 結果 (1)水分率0.07の場合、-30℃,-10℃の夫々にA,Bピークが認められた。水分率0.15になるとCピークも認められた。 (2)A,Bピークは水分率の上昇と共に高温例に移動し水分率0.25になるとCピークと重なる傾向にある。 (3)Cピークは2℃に現れ、水分率上昇につれ強度が急激に増加するが、位置は変化しない。純水について測定すると、ピーク位置が異るので、このピークは自由水と考えられ、A,Bピークは束縛水によるものと思われる。 (4)X線解析から得られた綿糸(002)面が最大強度を示す水分率も0.15近傍にあることから、セルロース【I】の物性に影響を与えているのは、かなり小量の水であると思われる。 3 今後 水分率を変化させ詳細な測定を行い、セルロース【I】と水との関係を明らかにする予定である。
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