1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470035
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
赤岩 英夫 群馬大学, 工学部, 教授 (60008414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相羽 陽子 群馬大学, 工学部, 教務員 (20173106)
相沢 省一 群馬大学, 工学部, 助手 (20008527)
川本 博 群馬大学, 工学部, 助教授 (20008460)
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Keywords | モノチオテノイルトリフルオロアセトン / 1、10-フェナントロリン / 亜鉛(II) / カドミウム(II) / 溶媒抽出 / 協同効果 / 分離 |
Research Abstract |
モノチオテノイルトリフルオロアセトン(STTA=HR)と、1.10-フェナントロリン(phen)を用いたCo(II)およびNi(II)の協同抽出機構について検討した。その結果、前者は付加錯体CoR_2(phen)およびCoR_2(phen)_2としてクロロホルムへ抽出され、抽出定数はそれぞれ、log Kex_1=4.30、log Kex_2=6.60であった。実験範囲でNi(II)の抽出反応は平衡状態に達せず、抽出の律速段階は水相でのNi(phen)_2^<2+>+R-→NiR(phen)_2^+の反応であった。その速度定数は、k_2=1.08×10^6mol^<-1>dm^3s^<-1>であった。 上記の速度論的検討から、Ni(phen)_2^<2+>はR-に対して反応不活性であることがわかったので、その結果をCo(II)とNi(II)の分離に応用した:水相に予めphenを加えてNi(phen)_3^<2+>を生成された後にSTTAのクロロホルム溶液と振り混ぜた結果、Ni(II)を水相に残したままCo(II)のみの有機相に定量的に抽出できた。なお、この方法によるCo(II)とNi(II)の定量的分離はキレート剤に8-キノリノールを用いても達成できることを確認した。 STTA-phenによってZn(II)とCd(II)はともにphen付加錯体としてクロロホルムに抽出されるが、有機相での付加錯体生成定数はCd(II)>Zn(II)であった。一方、phen錯陽イオンの水相内安定度定数はCd(II)<Zn(II)である。安定度に関するこれらの関係が、Zn(II)とCd(II)の定量的分離法として利用でき、phenは協同効果試薬として利用される一方、マスク剤としての作用も同時に働かせることによってCd(II)とZn(II)の分離を達成させる方法を検討した。その結果、抽出条件を調節することによってZn(II)をZn(phen)_3^<2+>として水相に残したままCd(II)をクロロホルム相へ定量的に抽出できた。
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