1986 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性を有するC-P化合物の生成機構に関する生物有機化学的研究
Project/Area Number |
61470133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬戸 治男 東大, 応用微生物研究所, 助教授 (10013335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 恵治 東京大学, 応用微生物研究所, 教務職員 (50092127)
中山 宏 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (30155890)
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Keywords | ホスフィノメチルリンゴ酸 / モノフルオロ酢酸 / クエン酸シンターゼ / C-P化合物の生成機構 / TCAサイクル類縁反応 / ビアラホス |
Research Abstract |
本研究はC-P化合物のなかでも最も特異的なC-P-C結合を有するビアラホス(BP)を研究対象とし、その詳細な生合成機構を、酵素を含め生物有機化学的に解明することを目的とした。 先ず、BPの生合成中間体であるホスフィノピルビン酸からデメチルホスフィノトリシンへの骨格炭素1個が増加する反応機構の解明をおこなった。この変換過程の中間体を単離するために、種々の変異剤を用いて突然変異株の取得を試みた。しかし、新規化合物を得ることに成功しなかったので、次に酵素阻害剤の利用を検討した。 その結果、クエン酸シンターゼの阻害剤であるモノフルオロ酢酸を培養液に添加した場合、新規C-P化合物が蓄積することを認めた。この物質を単離精製しその構造を2-ホスホノメチルリンゴ酸(PMM)と構造決定をした。本物質はクエン酸の末端のカルボン酸がホスフィン酸で置換された興味ある構造を有している。次いでこの物質の絶対構造を決定するために、オキサロ酢酸の類縁体であるホスフィノピルビン酸を基質としてクエン酸シンターゼにより変換を行ったところPMMが生成したが、その旋光度は天然型のものとは異なっていた。このことより天然型のPMMの絶対構造をSと決定した。 次にPMMから次の代謝産物への変換機構を解明するために、グルタミン酸生産菌を用いての変換を検討したところ、生合成中間体であるデメチルホスフィノトリシン(グルタミン酸類縁体)に変換された。以上の結果、BPの生合成にはTCAサイクルが深く関与していることが明らかとなった。
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[Publications] Kumiko Shimotohno: THE JOURNAL OF ANTIBIOTICS. 39. 1356-1359 (1986)
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[Publications] Kumiko Shimotohno: THE JOURNAL OF ANTIBIOTICS. 40. (1987)
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[Publications] Kumiko Shimotohno: THE JOURNAL OF ANTIBIOTICS. 40. (1987)