家蚕の卵細胞構築と胚発生分化における遺伝子の作用機作の解析

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 61480053
• Research Institution: KYUSHU UNIVERSITY
• Principal Investigator: 古賀 克己 九州大学, 農学部, 教授 (40038261)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 河口 豊 九州大学, 農学部, 助手 (80038306) ; 藤井 博 九州大学, 農学部, 助教授 (10038268)
• Keywords: カイコ / 卵細胞構築 / 胚発生分化 / 卵殼コリオン蛋白質 / カロチノイド結合蛋白質 / 小形卵突然変異 / 卵黄蛋白質

Research Abstract

1.卵殻蛋白質コリオン合成の分子遺伝学的研究:コリオンに関する各種突然変異系統のうち特に興味深い数種、およびカイコの祖先であるとみなされるクワコについて、詳細に二次元電区泳動法により卵殼蛋白質の解析を行い、かつ正常のコリオン遺伝子をプローブとしてサザンブロットハイブリダイゼーション法によりこれら変異系のコリオン遺伝子の比較を行った。61、62年度には卵殼のうちで量的に最も多い中層では蛋白質成分における変異は小さいが、それをコードする遺伝子ではカイコ系統間またカイコとクワコ間で著しい差異があることを見出した。ところが、本年度は機能的に最も重要な最外層を比較したところ、蛋白質においては差異が大きいにもかかわらず遺伝子レベルではこれら突然変異間や異種間で均一性が高かった。これはコリオン遺伝子の進化が部域によって異なり複雑であることを示唆する。
2.細胞分化に伴う組織の透過性とその遺伝子作用の解析:カイコ幼虫におけるカロチノイド透過性の遺伝子支配機構をさらに詳細に追及した。とくにカロチノイド透過を抑制する遺伝子突然変異においても体液にカロチノイド結合蛋白質が存在することを確認した。この結果は中腸においてカロチノイドを結合蛋白質に積み込む機構が存在することを示す。
3.卵形成に関与する蛋白質・核酸の解析とその機能的役割に関する研究:小形卵突然変異体の遺伝子作用の組織学的ならびに生化学的解析を詳細に行い、蛹後期に蓄積される卵黄蛋白質の主成分が欠如していることを見いだした。これにより、卵形成の遺伝子の多角的作用の一環が明かとなった。

Research Products

• [Publications] Y.Xiong;B.Sakaguchi;T.H.Eickbush: Genetics. 120. 221-231 (1988)
• [Publications] Y.Mihara;A.Saito;K.Koga;B.Sakaguchi: J.Sericult.Sci.Jpn.57. 62-67 (1988)
• [Publications] S.Tshuchiyama-Omura;B.Sakaguchi;K.Koga;D.F.Poulson: Zool.Sci.5. 375-383 (1988)
• [Publications] K.Koga;K.Nishijima;S.K.Nho;B.Sakaguchi: Appl.Ent.Zool.23. 196-198 (1988)
• [Publications] Y.Sugimoto;A.Saito;T.Kusakabe;K.Hori;K.Koga: Biochim.Biophys.Acta. (1989)
• [Publications] 河口豊,土井良宏,藤井博: 日蚕雑. 57. 289-297 (1988)