1986 Fiscal Year Annual Research Report
寒地型草類の夏枯れ抵抗性に関する比較栄養生理学的解析
Project/Area Number |
61480054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾形 昭逸 広島大, 生物生産学部, 教授 (70034436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
実岡 寛文 広島大学, 生物生産学部, 助手 (70162518)
河野 憲治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (50034476)
藤田 耕之輔 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (90002170)
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Keywords | 寒地型草類 / 過湿 / 高温 / 水ストレス / 根糸発達 / 根糸養分吸收 / 光合成能 / 夏枯れ抵抗性 |
Research Abstract |
寒地型草類の夏枯れ抵抗性の強弱を評価するため、昭和61年度はイネ科寒地型草類としてトールフェスキュー,ケンタッキーブルーグラス,オーチャードグラス,チモシー,マメ科として赤クロバー,白クロバ,アルアルファを圃場に導入し試驗を実施した。なほ対象の暖地イネ科としてバヒヤブラス,マメ科としてデスモデュムをも導入した。 また圃場への施肥はりん酸施与量は3レベルトした。その結果つぎの結果を得た。 1.イネ科草類;(1) 梅雨期の多降水量は圃場土壌を過湿に維持させ、根糸の発達に対し抑制的に仂き、その発達に顕著な草種間差異があった。相対生育量から見た、夏枯れ抵抗性の強弱はトールフスキュー>オーチャドグラス≧ケンタッキーブルグラス>チモシーの順であった。とともに根糸発達も相間が強くあった。(2) 寒地型草類の単位葉面積当りのみかけの光合成能は30℃以上の高気温になると低下するが根呼吸は低下しなかった。(3)したがって夏枯れ抵抗性の強弱は土壌過湿條件でも根糸発達と活性を維持し、かつ高温,水ストレス条件下でも、光合成能を高く維持しうる能力を効果的に保持しうる草種である必要があると結論しえた。(4) 梅雨後の高気温,水ストレス条件下での灌水は、寒地型草類の生育を良好に維持しうるが、灌水の中断,ないし中止は夏枯れ抵抗性をより明瞭に、かつ、より激しく低下させる。すなわち、高気温,水ストレス条件に対しての適応性を、より低下せしめると考えられた。(5) 夏枯れ抵抗性の要因は根糸の発達,吸水,養分能とともに地上部への根糸からの輸送能によることになると考えられ、このことに関連しての草地維持管理方式を確立すべきである。 2.マメ科草類 (1) 根糸発達に対する檢討結果はイネ科のものとほゞ同様である。(2) 寒地型草類の根粒の窒素固定能はより高温での低下度は、暖地型のそれにして大きい(2)それゆえ、高温,水ストレス条件下での窒素供給不足に対する抵抗性も夏枯れ要因の一つとして檢討すべきである。
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[Publications] 尾形昭逸: 日本草地学会誌. 32. 3 (1987)
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[Publications] Fujta,K.: Soil Science and Plant Nutrition.
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[Publications] 実岡寛文: 日本草地学会誌,日本草地学会昭和62年4月. 32・別号. (1987)