1986 Fiscal Year Annual Research Report
臨床分離細菌の新抗菌剤耐性発現機序に関する疫学的分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
61480142
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
橋本 一 群大, 医学部, 教授 (90008235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 康嘉 群馬大学, 医学部, 講師 (60125820)
伊予部 志津子 群馬大学, 医学部, 助教授 (90008318)
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Keywords | セラチア / 腸球菌 / 緑膿菌 / 耐性獲得 / 外膜透過性 / ノルフロキサシン / フェロモン / Tn2001 |
Research Abstract |
疫学としては計画通り群馬県下10大病院の中央検査室において、病巣由来菌14000株の薬剤耐性が検査され、その結果が総合的にまとめられた。種々の新薬に対する耐性菌の動向をみると、ペニシリン系ではピペラシリンの緑膿菌に対する効果が確認され、セフェム系では第3世代が腸内細菌のすべてに有効であり、アミノグリコシドではアミカシンが最もすぐれ、その他ではニューキノロンが病原菌にまんべんなく有効であることがわかった。 日和見感染菌として注目されているセラチアについて、第3世代ゼフェムへの耐性獲得の機序を知るために、in vitroでの感受性菌の耐性化、および耐性菌の耐性脱落変異株を分離しこれらを解析した。その結果セフェム耐性には中等度と高度耐性が、又誘導型と構成型があり、高度耐性にはセフェム不活化酵素による耐性発現の他、外膜透過性が変化したものがあることがわかった。後者の場合、セフェム剤に対してでなく、アミノグリコシドやニューキノロンにも同時に耐性であった。 一方ニューキノロン耐性では、ノルフロキサシンを用いた緑膿菌のin vitro耐性菌はDNA gyrase変異株、2種の透過性変異株が分離され、それぞれに対応する遺伝子としてnfxa,nfxB,nalBが同定された。nfxBにおいては54Kの外膜タンパク質が新しく出現していた。 腸球菌におけるフェロモン誘導による耐性伝達では、臨床株の約80%が種々の薬剤耐性、あるいは病原性遺伝子の伝達性を示した。 緑膿菌に特異的な転移を示すトランスポゾンTn2001の解析では、その挿入座位、Tn2001における切断と結合部位のDNA塩基配列を調べると、それぞれに特徴的な配列が見出された。
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[Publications] 池康嘉: 日本細菌学雑誌. 41. 497-511 (1986)
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[Publications] K.Hirai: Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 29. 535-538 (1986)
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[Publications] K.Hirai: Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 30. 248-253 (1986)
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[Publications] 田中徳滿,橋本一: "赤痢菌の薬剤耐性とRプラスミド/日本の感染性腸炎" 菜根出版, 17 (1986)