1988 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄キメラマウスを用いたT細胞レセプター分子構造の適応分化に関する研究
Project/Area Number |
61480155
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 喜博 東京大学, 医学部, 助教授 (70114353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 富雄 東京大学, 医学部, 教授 (10009136)
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Keywords | 放射線骨髄キメラ / I-J / T細胞レパートリー / T細胞抗原レセプター / サプレッサーT細胞 / ヘルパーT細胞 |
Research Abstract |
放射線骨髄キメラマウスおよび遺伝子型やMHC拘束特異性の異なるT細胞クローンを用いた昨年度までの解折で、T細胞上に表現されるI-J分子がT細胞の成熟・分化の過程で後天的に表現される自己認識レセプターで、T細胞抗原レセプターとは異なる分子である可能性が示唆された。そこで今年度は、T細胞サブセット間でのI-Jの表現様式の異同およびI-J分子の免疫化学的解析を行った。その結果、以下の知見が得られた。 1.CD8^+サプレッサーT細胞上のI-J表現型は、抗原による免疫時に存在する抗原提示細胞によって規定され、CD4^+ヘルパーT細胞上でのI-J表現機序とは異なる。すなわち、I-J表現型は2つの異なる機序によって規定されることが明らかになった。 2.I-Jエピトープを表現する自己認識レセプター分子 (I-J分子) をクローン化T細胞から免疫化学的に同定することに成功した。I-J分子は、クローン化T細胞株によってわずかな分子量の違いはあるが、42〜46kdの2本の糖タンパク鎖からなる84〜90kdの二量体分子であり、T細胞抗原レセプターとは異なる分子であることが明らかになった。 3.T細胞抗原レセプターを介する特異的T細胞活性化の初期シグナルは、I-J分子を特異抗体で架橋することによって抑制される。この結果から、I-J分子の生体内でのリガンドは不明であるが、T細胞レパートリーの形成に際してI-J分子が重要な役割を果たしていると考えられる。
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[Publications] Asano,Yoshihiro: Journal of Immunology. 140. 419-426 (1988)
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[Publications] Nakayama,Toshinori: European Journal of Immunology. 18. 761-765 (1988)
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[Publications] Asano,Yoshihiro: Journal of Immunology. 142. 365-372 (1989)
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[Publications] Nakayama,Toshinori: Immunlogy. (1989)
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[Publications] Nakayama,Toshinori: International Immumology. (1989)
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[Publications] Utsunomiya,Naoko: Submitted.
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[Publications] Furutani,Makoto: Submitted.
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[Publications] 浅野喜博: 臨床免疫. 20. 221-228 (1988)
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[Publications] 浅野喜博: 感染・炎症・免疫. 18. 263-275 (1988)
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[Publications] 浅野喜博: "現代免疫学" 医学書院, 57-67 (1988)
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[Publications] Tada,Tomio: "Cellular Basis of Immune Modulation." Alan R.Liss,Co., 341-351 (1989)
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[Publications] 浅野喜博: "Annual Review 免疫1988" 中外医学社, 68-78 (1988)
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[Publications] Tada,Tomio: "1989" Proceedings of the 19th International Symposium of the Phincess Takamatsu Cancer Research Fund,