1988 Fiscal Year Annual Research Report
近年における生活環境の変遷に伴う循環器疾患の発症要因の変化に関する疫学的研究
Project/Area Number |
61480167
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土井 光徳 筑波大学, 社会医学系, 講師 (10164089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 紘 国立循環器病センター, 研究所・研究機器管理室, 室長 (20028393)
嶋本 喬 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (50143178)
小町 喜男 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50134242)
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Keywords | 脳梗塞 / 危険因子 / 多変量解析 / 相対危険度 / 高血圧 / 心房細動 / 母集団寄与危険率 |
Research Abstract |
1.秋田農村住民における追跡調査から、脳梗塞の危険因子として高血圧、眼底異常(高血圧性変化、動脈硬化性変化)、加令とともに心房細道(Af)が重要となって来たことを,Cox比例ハザードモデルによる多変量解析により明らかにした。脳梗塞の要因の脳梗塞発生に対する相対危険度を検討した結果では、Afは要因中、最も高い相対危険度を示したが、脳梗塞の危険因子を母集団寄与危険率からみると高血圧および眼底異常が脳梗塞発生に最も強く寄与しており、地域における脳梗塞予防対策のためには、高血圧対策を徹底させることが重要である。Afの母集団寄与危険率は、現在のところ、高血圧や眼底異常に比し低いが、Afは高令者で頻度が高く、今後の高令者人口の増加とともに母集団寄与危険率は上昇して来る可能性が高く、Afの動向にも注意する必要がある。 2.脳梗塞の危険因子としてのAfの発生要因を秋田農村における追跡調査から検討した。Af発生の背景因子としては、昭和40年代では眼底異常やST-T異常を伴う程度の強い高血圧、肥満、期外収縮、昭和50年代ではST-T異常や期外収縮、肥満が重要と考えられる成績を得た。Af発生に及ぼす高血圧の相対危険度は、昭和40年代から50年代にかけて減少してきており、高血圧者からのAfの発生率は、この間に60%も減少した。しかし、昭和50年代にAfのリスクファクターとして認められたST-T異常、期外収縮、肥満は大部分が高血圧に合併しており、しかも経年観察成績からは、これらに高血圧が先行していることから、昭和50年代に入っても、Af出現に長期間の高血圧の先行による臓器変化が重要であることに変わりはないものと考えられる。従って、脳梗塞発症要因としてのAfの予防対策には、高血圧予防対策ならびにその管理が重要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 北村明彦: 日本公衆衛生雑誌、第47回日本公衆衛生学会総会抄録集II. 35、別冊. 28 (1988)
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[Publications] Yoshio,Komachi: ASIAN MEDICAL JOURNAL. 31(11). 613-619 (1988)